映画 ゲルマニウムの夜 (2005)

   主人公の朧(ろう)は聖職者と関係を持つ同性愛者のようであるが暴力の衝動を内在させているように見える。虚ろな目でゲルマラジオを聴いているのは虚無の表現か。修道院の養豚場で一見真面目に働いているように見えるが一旦切れると凶暴性を現してくる。近づいてくる美人の修道女とも関係を持つし、慕ってくる美少年にフェラチオもされる。院長と隊長はど変態だしまともなのは神父と修道士くらいだ。核心部分は朧のコンフェッションの場面で殺人と姦淫を神父に懺悔する。宗教と神父を試したのだという。朧は罪は赦されると聞き神も神父も気楽な稼業だと揶揄する。神父も朧を悪魔と認識したのか出て行けと言う。この映画は善も悪もなく神は機能していないというのが主題なのだろう。だが司法は不完全ながらも機能しているし世の中には人間が人間を罰するという不条理もある。朧の持つ万能感も今後状況が変わればどうなるかわからない。今回の話は周りが優しすぎるように感じる。