学校が夏休みになり三人は庭に忍び込むが老人に見咎められる。親の顔が見たいと言われて言い出しっぺの河辺くんが切れて目的を全部ぶちまけた。老人を尾行中に街中で見失うが老人だから病院に行っただろうと思い病院を探索する。古い病院の地下室には病理の研究室があり気味の悪い心霊現象も起こっている。霊安室もあった。木山くんは怖いものを見てしまった。
夏の盛りの日、塀の外で三人が待機していると老人が機嫌よく声をかけてきた。家に呼ばれ洗濯物干しの手伝いをさせられる。庭は雑草が伸び放題で虫もたくさんいる。又声を掛けられ今度は雑草の片付けを命じられる。文句を言いつつも雑草を片付ける三人組。片付けが終わりやっと庭らしくなった。老人はスイカを振る舞う。錆びついた包丁を見て山下くんが実家の魚屋から砥石を持ってくる。スイカを食べながら広くなった庭に何の花を植えるか皆で話し合う。
種を植えて水撒きしていると担任の先生が通りかかって挨拶する。あとでわかるのだが彼女は老人の孫娘ということになる。三人は家の障子張りにも取り組む。三人は職人の様に一心不乱に仕事をする。ガラス屋を呼んで割れた所を補修してもらう。 ひと息つき四人はブランコに乗り自由に語り合う。この中で一番変な事を言うのが河辺である。
台風の夜三人が駆けつけて来る。老人から戦争の話を聞く。大層なことはしていないと言うが、フィリピンのジャングルを逃げ回るうちに村人を虐殺した話をする。
三人は老人の元妻の居場所を探索する。名前だけ分かっているのでとうとう見つけてしまう。老人ホームを訪ねて行くとそこには担任の先生がいた。三人は老人の事を話し復縁するように健気に働きかける。だが返事はつれないものだった。彼女には認知症もあるだろうし大人の事情もあるのだ。一番気合が入っていたのは孫娘である。面会に来て老人の一人娘のことその子である自分の事を縷々話すが老人の返事はつれないものだった。
しばらくふさぎこんでいた老人は元妻の事を一目だけ遠くから見ようかという。会いに行く日はたまたま三人のサッカーの試合の日だった。サッカーから帰ると老人は家で倒れて息絶えていた。コスモスの花も咲いていた。皮肉なことにこれで三人の当初の目的が果たされたわけである。だが少年たちよ泣くことはない。これはこれで最高の亡くなり方なのだから。