東洋文庫 バタヴィア城日誌3 (2)

  1643年のブレスケンス号事件についての一次史料になっている。金銀島探索の為日本の東方海上を航海していたオランダのブレスケンス号は暴風雨に遭い漂流後補給のため岩手県の山田浦に上陸し捕らえられる。その際の日本側とのやり取りが詳細に記述されている。当時オランダ船は合法に上陸出来る事になっていたが船員達に不審な行動があり厳重な取り調べを受ける事になる。船長ら10名は江戸に送られ厳しく吟味され種々の手続きもあり6ヶ月後に釈放となった。専ら宣教の意図があるかどうか、偵察ではないかが繰り返し尋問されたが一応疑いは晴れたようである。オランダ人側の答弁にこの様なのがあった。

   答 イスパニア人およびポルトガル人は天に在る彼らの神のほか、地上に一人の神すなわちローマ法王を有し、法王は一切の罪を完全に許すことを得と言い、また多数の男女聖徒および造りたる像を有し、これを拝みまたその信仰をこれに置けり。我がオランダ人はこれに反して天に在る神一人を有し、信仰はこの神のみに置き、幸福も神に求む。

   旧教と新教の違いを端的に言うとこうなる。