德川慶朝著 德川慶喜家にようこそ (1997)

  第15代将軍德川慶喜の直系曾孫である著者のエッセイということになる。写真が趣味であったという慶喜公の血筋なのか周囲には反対されたが職業にカメラマンを選んだ。都内の大学を卒業し20年間広告会社のサラリーマンとして働き退職後はフリーランスになった。祖父、父の代までは貴族院議員としてお国に仕えたというが著者は普通の人生を選んでいる。

  カメラの他に一時期オーディオも趣味としていたが家が狭い為に自作のバックロードホーンを手放したという。車にも関心がありABS装備の新車を購入したことがあるがトラブル続きで断念する。都内にあった三千坪のお屋敷は財産税のせいで父の代で手放すことになる。今は大蔵省(当時)の宿舎が建っているという。この本には典型的な武家屋敷だった屋敷の見取り図が載っている。

  究極の〜を考えるのが性癖でありこれまでに究極のデミグラスソース、弁当、米を研究、考案している。自家焙煎による徳川将軍珈琲というコーヒー豆がある様である。松戸市の戸定歴史館には著者が寄贈した慶喜公の写真コレクションが展示されており、市が管理する武家屋敷の戸定邸も見学できるという。