映画 ぼくたちのムッシュ・ラザール (2011)

  フランス語が飛び交う清潔な感じの小学校でのお話。子供たちは雪の中で遊んでいる。牛乳当番のシモンがいつも通り教室に行くと担任の女教師が首吊り自殺していた。真っ先に見たのはシモンである。アリスも窓から覗き込み見てしまった。早速カウンセラーが手配されテキパキとPTSDの対策を取る。後任の教師はというと新聞記事を見て売り込みに来た難民申請中のラザールという胡散臭い男が上手い弁舌で後任に就く。

  アルジェリア出身のラザールは昔のフランス語教育を受けているので児童との間に若干の齟齬が生じている。バルザックの文章の書き取りやら古い文法用語を教えるので超優等生の子から指摘されて戸惑う場面もある。アリスはラザール先生になついている感じだがシモンは問題行動を起こすようになる。決定的になったのはシモンが女教師の写真に首吊りの落書きしてポケットに入れ持ち歩いていたのが先生にばれた事である。

  ラザールは授業を通してこの問題をみんなで考えようとして児童らに作文を課す。アリスの作文に反応したシモンは担任の先生の自殺はぼくのせいじゃ無いと叫ぶ。抱え込んでいたものを吐き出した格好になる。校長とカウンセラーの方針の真逆をやったラザールは責任を取らされて首を言い渡される。校長もとばっちりで異動となるようだ。ムッシュ・ラザールの最後の授業はみんなで寓話を作ろうというものだった。先生の作った寓話は自分の苛酷な体験を基にしたほろ苦いものだった。

  愛の教室クオーレのカナダ版と言えるだろう。女性の社会進出、PTSD、難民問題なども絡んできてこちらはちょっと複雑である。