映画 君を想って海をゆく (2010)

   BS ドキュメンタリー 止まらないEUへの難民流入 (2015)の具体例のような映画だが色々とロマンチックな仕込みがある。

  イラクからカレーまで陸路逃げてきた美少年シモンはトルコ人による虐待のトラウマから普通にトラックで密入国出来ないという設定だ。ロンドンには恋人のミナが待っているが近々親戚の金持ちと結婚するという知らせが届く。シモンに水泳を指導するのは離婚調停中のビラルという中年男である。単なる水泳教室のコーチと生徒の関係だがビラルの方がだんだん深入りしてゆく。結局ビラルのウェットスーツで二度ドーバー海峡横断を試み二度目で死んでしまうという話である。途中ビラルからフランスで難民申請すればどうかという話も出たがシモンの眼中にはミナのことしかないのである。イギリスに渡った暁にはマンチェスターユナイテッドで活躍するはずだったのにこのような悲しい結末が訪れたのである。

  他にも同情を誘う設定がいろいろあるが実際の難民は人権もお金次第と割り切っているようだしこのような人情話は創作だろうなとつい思ってしまう。