東洋文庫 J.マンデヴィル 東方旅行記 (1362)

  これは実際に旅行して書いた旅行記ではなく著者が当時流布していた書物を参考に纏め上げたものとされている。J.マンデヴィルは英国生まれの騎士であるというふれ込みだが真偽は明らかでない。エジプトのスルタンに仕えていたという経歴があるらしい。この本では聖地巡礼の主要な道のりおよび更に東の諸国のことが述べられている。


  コンスタンチノープルはまだ陥落前で皇帝の宮殿、聖ソフィア寺院、住民であるギリシャ人の風習や信仰のことが述べられている。当時の教皇ヨハネス二十二世の申し出に対し超強硬な返書を返している。


  エジプトの事にも詳しい。カイロに住むスルタンは五つの国を支配し強大な兵力を持ち三人の妻がいる。何時でも出向いた地の一番美しい乙女を抱くことができるという。

  エルサレム観光の詳しい案内、周辺の都市について述べられている。死海、エリコ、ガラリヤ平野、ナザレ、ガザの事が書かれておりまるで百科事典のようである。

  インド、ペルシャ、ジャバ、シナ、ダッタンについては仔細は省略する。特にプレスタージョンについては何章にもわたって詳しく述べられていた。日本のことはまだ出てこないようである。