映画 追憶の森 (2015)

  ナショナルジオグラフィックに出てくるような広大な原生林が冒頭に映し出され程なく舞台は日本の青木ヶ原だと分かる。一人のアメリカ人が気もそぞろな様子でANAと新幹線を乗り継いで青木ヶ原の樹海に入って行った。ここに死にに来たらしいのだが理由は不明である。回想シーンで妻と不仲である事が分かる。男の名はアーサーと言う。腰を下ろし何か錠剤を飲み一息ついていると怪我をしたヨレヨレの中年男性が現れる。男は助けてくれ、家族の元に帰りたいというが死にに来たのだとも言う。 

  アーサーは男に帰る道を教えるが結局二人は迷ってしまう。アーサーは最初は元気だが崖から落ちたり鉄砲水にやられたりで瀕死の状態になる。二人で何とかテントにたどり着き火を起こして暖をとる。二人の会話の中でわかったのは男の名はタクミでサラリーマンだったということだ。この森は煉獄で霊がさまよっているが成仏すると花になって消えるとタクミはいう。アーサーの方は不仲だった妻が病気になり二週間前に亡くなったのだと言う。回想シーンでは脳腫瘍の手術後転院の為移送中に交通事故に遭うという設定だ。妻のいない人生なんてとつぶやきながらここまでやってきたのである。

  テントの死体が持っていた無線で山岳救助隊がやって来てアーサーは一命を取り留めるがタクミは森に残される。後でアーサーが訪れるがタクミのコートの下には死体は無く一輪の花が咲いていた。

まとまりは良いがその反面ファンタジーの部分がなんだか陳腐だし夫婦の不仲の描き方もワンパターンで底の浅い内容に思えた。