映画 主人公は僕だった (2006)

  平凡な一般人である国税調査官ハロルドは整数に強く何でもカウントする習性がある。暗算も得意である。変わった腕時計を身につけているが何かに反応して知らせてくれる機能がある。ある日の事ハロルドに女の声が聞こえてきて、それが自分の行動と一致しているのに気付く。声はナレーションのようでもあり、ハロルドが死ぬ運命であるかのような事を言う。ハロルドは驚き恐怖に駆られて精神科医に相談する。精神科医統合失調症と診断するが受け入れられないなら文学の専門家に相談するようアドバイスする。

  大学教授のヒルバートはこの現象に興味を示しハロルドの属性からこのストーリーに一致する物語を検索するが見つからない。たまたまハロルドが見ていたテレビに同じ声の女流作家が出ていて声の主が彼女であることが確定する。カレン・アイフルはいままでに八つの小説を上梓しておりすべて主人公が死んでいる。現在執筆中の小説は途中で行き詰っているが主人公が死ぬべきストーリーをやっと考えついたのだと言う。

  ハロルドは長期休暇中で恋人もできこのまま死ぬわけにはいかないと行動を開始する。ハロルドは国税調査官の職権を使いカレンの住所を突き止め面会を申し出る。カレンはハロルドを見ると驚いてガタガタ震えだすのだが残念ながら草稿は完成していた。この草稿をもらいヒルバート教授に読んでもらうとこの小説は歴史的傑作であり結末を変えることは無理であると言いハロルドに死ぬ事を勧めて来る。この辺がこの映画の中で一番シュールな場面である。

  結局ハロルドはそれを受け入れ朝の通勤のバス停で事故に遭う。これにより少年の命が救われたという結末である。だがカレンは結末を書き換えておりハロルドは骨折で済み恋人と幸せに暮らすことができたのである。

  これもまた変わったテイストの独創的な映画の一つだが少々日和ったところがあるようだ。