映画 地上より永遠に (1953)

  戦争前夜のオアフ島の米軍基地で繰り広げられた愛憎劇である。ホームズ大尉は有能な部下のウォーデン曹長に仕事を任せ自分は街で女遊びをしたり出世の為の付き合いに勤しむ毎日であった。そこへブルーイット二等兵が着任する。元ラッパ手だったブルーイットはボクシングで優勝を狙える力がある男だがすでに引退していた。これに目をつけた大尉はボクシング大会で中隊が優勝すれば自分が出世できると考えブルーイットに大会に出るよう説得する。頑固な田舎者のブルーイットはそれを拒否し分隊長の陰湿なしごきに会う。

  しごきに耐えていたブルーイットはある日とうとう反抗し軍法会議にかけられそうになるが曹長の機転で隊での懲罰にとどまった。一匹オオカミのブルーイットだが隣のベッドのマジオが街に飲みに誘ってくれ連れて行かれた会員制のクラブでロリーンという娘と恋仲になる。ウォーデン曹長も女優並みの美貌を誇る大尉の妻カレンにアプローチしすぐ恋仲になる。大尉の夫婦関係はすでに破綻しておりカレンも少々変わった女なのである。

  マジオはというとクラブで営倉係長のファッツォーに絡まれ殺し合い寸前の喧嘩になるが機転がきく上に男らしい曹長が見事に仲裁する。だが結局マジオは軍務をさぼった廉で営倉送りになりファッツォーに半殺しの目に会い脱走して事故死する。友人の死を悼みブルーイットが涙を流しながら吹く曲が有名な夜空のトランペットである。

  その後ブルーイットはナイフでファッツォーを襲いマジオの仇を打つが自身も重傷を負いロリーンのシェアハウスに転がり込む。これは殺人事件として報じられ街は騒然となるが曹長は知らん顔、大尉はブルーイットへの理不尽な仕打ちが上層部にばれて辞任させられる。そこへある日曜の朝晴天の霹靂のように日本軍による空襲が始まるのである。飛行場を爆撃し戦艦を炎上させ慌てふためく曹長たちを機銃掃射する零戦の勇姿は見る価値がある。

  日本軍の攻撃をラジオで聴いたブルーイットは隊に戻ろうとしてロリーンと修羅場を演じる。頑固なブルーイットは家を飛び出し帰還途中に射殺される。民間人に退去命令が出て大尉の妻も本土に帰ることになる。美男美女の恋は成らなかったのである。