映画 プレイス・イン・ザ・ハート (1984)

  世界恐慌の頃のあるテキサスの町での日常を描いた映画である。主人公のエドナは専業主婦として保安官の夫と二人の子供とつましく暮らしていた。ある日の朝の食事時、緊急に呼ばれて現場に向かった夫が黒人に射殺されるという事件がこの物語の発端である。エドナは長い髪と茶色い瞳を持つキュートな感じの女性で気丈と言うほどではない。美容師として働いている妹のマーガレットがすぐやってきて葬儀の手助けをしてくれる。マーガレットは気が強い女である。唐突に浮気のシーンが出てくるがマーガレットの夫が女教師と密会しているのである。

  さて話は経済的な問題に移ってくる。エドナは家のローンを払う為妹に雇って欲しいと申し出るのだが断られる。銀行員がやってきて家の売却を提案するがエドナは頑として拒否する。結局流れ者の黒人モーゼスを雇い夫の残した土地で綿花栽培を試みることになる。銀行員に紹介されてやって来た盲目の青年ウィルが下宿人として家に住むようになる。彼は気難しい男だがなかなかのインテリで家具と箒の製作を行って僅かばかりの収入を得ている。

  更に厄災が襲ってくる。竜巻がやって来て町を破壊する。学校は壊れ車はひっくり返り町はひどい惨状となる。一家は地下シェルターに避難して事無きを得た。とうとうエドナは無一文かと思いきやモーゼスの働きで家を修理し畑も出来上がった。種は小切手で購入した。この時のモーゼスのアドバイスが白人にはカチンと来たのだろう。後でリンチしにやって来る。

  最初の収穫の時が来た。一番に出荷すると100ドルの賞金が出ると知ったエドナは嫌がるモーゼスを駆り立てて綿花を摘み始める。30エーカーの畑を四日で摘み終われば一位になれるのである。子供と妹夫婦、雇った黒人10人で懸命に働きなんとか一番に出荷できた。この時にもカチンときた白人がある夜KKKとしてやって来てモーゼスを殺そうとする。その時救ったのが盲目のウィルである。だがモーゼスはこれ以上町に居られなくなる。ぬいぐるみとうさぎの足を置き土産にいそいそと去っていったのである。浮気がバレたマーガレットの夫はついに追い出されたがダンスパーティーの夜になんとか復縁した。

  アメリカにおける色んな問題を満遍なく描いたような物語である。メーターはレッドゾーンにまで振れるが振り切れることはなく終わる。物語の上ではこうであっても現実では至る所でメーターが振り切れているのが実情である。