前略おふくろ様 第23回 (1976)

  失踪中の海(桃井かおり)が鶯谷のピンクキャバレーで目撃された。サブ(萩原健一)と利夫(川谷拓三)は会いに行くかどうか迷う。だが利夫はこっそりキャバレーに行き海の姿を見る。海のネグリジェ姿にショックを受けるがトシエという名で出ていた事に少しだけ救われる。

  突然海の父(大滝秀治)が山形から上京してくる。サブのアパートで差し向かいで話す。海のことを気にしながら世間話をする。話題は身内の事だが叔母が癌であると告げる。集めたお守りの束を出してしみじみ語る。海に一度帰るように言ってくれという。

  サブがキャバレーに現れる。海は客と楽しそうに踊っている。サブは帰りに待ち伏せする。スナックに入り遠回しに海に国に帰るよう話す。その夜サブが帰ってから突然海がサブのアパートに来る。母が癌であると海は知っていたという。もう三度家に帰ったのだと言う。だが家の前まで来るといたたまれなくなり逃げ出したのだと言う。

  そこへ海の父が現れる。ご機嫌になった父は酒を飲みながら昔話を始める。学生の時本郷の下宿で出会ったのが今の叔母さんである。ラフマニノフのピアノ協奏曲2番がいつも喫茶店でかかっていたと言う。海が感極まって父にすがりついて泣き始める。サブが席を外すと部屋の外には利夫がうずくまっていた。二人は黙って夜道を歩く。サブは歩きながら母の若かりし頃の姿に想いを馳せるのであった。