映画 飛べ!フェニックス (1965)

  砂嵐に突っ込みサハラ砂漠に墜落した双発機から、生き残った乗客とパイロットが協力して単発機を自ら作り上げて砂漠を脱出するという物話である。航空機のエンジニアが居て、工具類などが偶々積んであったという僥倖はあったにせよ翼を切り取り固定具を溶接するのはまず不可能に思われる。

  ストーリーは極限状態での男たちの行動に主眼が置かれプライドが激突し反目、裏切りも起こってくる。機長もリーダーシップはあるが考えが古いところがありエンジニアと度々衝突する。エンジニアはビルゲイツのような天才肌の男で安定な飛行に必要な定数を着々と計算する。犠牲者も出たし仲間も分裂するが終盤は皆が一致協力して機体の完成へと向かう。

  機長とエンジニアの何気ない会話からエンジニアの素性が模型飛行機の設計者である事が露見する場面ではシュールな笑いが込み上げてくるが、安部公房風には展開せず設計通り飛行機は飛び乗客らは生還する。落ちたら観客ががっかりするというのもある。

  希望とは何ですかと問われたらこの映画を見てごらんと言えそうな内容を伴った作品である。