前略おふくろ様 II 第15回 (1977)

申告の時期になり女将さんは皆んなに必ず領収書をもらう様お願いしている。半妻さんの母が川波で働く様になった。半ババさんと呼ばれている。それとかすみちゃんが復帰している。何故?

仲居さん達が炬燵に入って星座占いを読み上げている。そこへサブが顔を出すとサブの今日の運勢も読んでくれた。女難の相ありと言う。お嬢さんはすごい勢いでサブを呼び出しアベック喫茶の事を問い詰め今度の日曜日私も連れてってと言い出す。サブが嫌がると哀願してくる。とうとう連れて行くことになった。サブの話を聞いた政吉が女の頭の複雑さについて持論を述べる。曰く「女の頭の複雑さはテレビの配線よ。信じられないほど複雑よ。」

この前テレビ局で会った加藤という友人から電話がある。4月から始まる新番組に鳶として出てくれないかという。渡辺組の鳶の連中に話を持ちかけると利夫は随分乗り気である。川波では利夫さんがテレビにスカウトされたともう噂になっている。店を閉めサブが家路に着くと半妻が待っていてこの話はきっぱり断ってくれと言う。明日サブはプロデューサーに会うことになっている。かすみちゃんによると半妻さんは僻んでいるのだと言う。私がなんとかするからと言う。赤提灯に行くと利夫らがいた。半妻にコテンパンに殴られた顔をしている。不貞腐れた利夫が得意そうに半妻を批判する。そこへ半妻が現れる。サブもいるので半妻も大人しくしている。半妻はかすみちゃんの命令でテレビに出ることにしたと言う。だが筋を通さないと総理大臣でも怒るよと言う。海ちゃんがしょんぼりと現れる。男に惚れちゃったかもと言い出す。

スナック砂時計でプロデューサーと会う。サブと半妻が席にいる。プロデューサーは本職の鳶の方に出ていただきたい旨を告げる。半妻が女優陣について聞くと淡島千景さんと大原麗子さん秋吉久美子さんを予定しているという。半妻が笑いを噛み殺して出演を承諾する。でドラマの題名は?と聞くとはい、続隣の芝生は伸び放題ですという答えが返ってきた。半妻の表情がみるみる変わって行った。こういうシュールな仕掛けが倉本聰の脚本にはある。

翌日サブに電話がある。山形時代の昔の彼女タヌ子である。今度の日曜に会いたいという。午後7時新宿で会うことになった。サブは何だかときめいている。夜半妻がやって来てドラマの話はやっぱり断るという。俺がそのドラマに出て嫁か姑のどちらかに肩入れしたらどうなると言う。サブはじゃあ利夫さんに出てもらうというと半妻は向こうから断る様に仕向けると言う。高額のギャラを要求すると言う。3万ではどうだろうかと弱気だがサブが10万にしたらと言うとやっぱり3万でいいと言う。出たいのか出たくないのか。