映画 めぐりあう時間たち (2002)

この映画のモチーフである「ダロウェイ夫人」が実在の小説で、その小説の作者の英国人女性ヴァージニア・ウルフが実在の作家で入水自殺した時の遺書の文面もそのときの実際のものである。このエピソードが冒頭と中間部と最後に挿入されている。それ以外の登場人物はフィクションだと思う。

「ダロウェイ夫人」を愛読していたロサンゼルス在住の主婦ローラは小説の影響を受けたのか結婚生活を束縛と考え2人目の子供を産んだ直後にカナダに失踪する。カナダでは図書館で働いていた。捨てられた息子のリチャードは詩人として成功し授賞式が行われようとしていたがエイズに侵されていた。彼の面倒を見ていたクラリッサはリチャードの元カノだが今は友人である。リチャードが拗ねて授賞式とパーティに出ないというのを宥めすかし自分はパーティの準備をする。クラリッサを演じるメリル・ストリープが舞台女優の如く熱演している。

結局リチャードはクラリッサの目の前で窓から飛び降りて自殺する。その後リチャードの母ローラが現れて関係者と会話する。ローラ役のニコール・キッドマンに老女の特殊メイクが施されドアップで映し出され気持ち悪かった。大体この様な筋書きである。

作家が登場人物を殺すというのがモチーフとして何度も登場する。「ダロウェイ夫人」の作者が登場人物の誰を殺すか気が変わったらしく主人公とは別人を殺す。だからローラは死なずリチャードが死んだのだとどうも匂わせている節がある。このように文学作品は後世にいろんな影響をもたらすというのがこの映画の主張なのだろう。