映画 荒野の七人 (1960)

映画は頑張れば100本くらい見れるがあまり感動しなくなった。特にこれは黒澤明監督の七人の侍をじっくり見た後ではどうも無理があると感じてしまう。原作では農民たちの助太刀をしたのが武士だったが、こちらはメキシコの農民を盗賊から助けるのが白人のガンマンである。助ける理由が希薄なのである。ガンマンは決して武士のようにモラルは高くない。賞金稼ぎを生業とするような輩である。一匹オオカミのガンマンがガンマンを慕って結束するというのもなんだか変である。

村にもリーダーがいるので用心棒を雇う金で武装したら?と思うし、村に城壁は無く侵入し放題に見える。敵が来ればすぐ撃ち合いから白兵戦になり七人の侍のように犠牲を限りなくゼロにする作戦は成り立たない。

若いガンマンの恋や民族音楽の収録があるところは原作と同じである。決定的に無理があると思ったのは盗賊の本拠地で七人が丸腰にされ帰された場面だ。盗賊にどういうモラルを期待したらこうなるのだろうか。丸腰にされたら全員惨殺されて終わりのはずである。結局手を引く約束をして帰されたが、このあと一人抜けて六人で盗賊たちを成敗して終わる。

名優を揃えて作っただけの映画で大したことはない。似た筋書きの映画ではクリント・イーストウッドの作品の方が優れている。