本書は明治学院大学を定年退職した歴史学者・文学博士の武光誠氏による書き下ろし作品である。
概要
紀元220年頃の大和朝廷誕生以前の日本には多くの豪族が並び立っていた。これを外国から見ると小国の君主ということになる。
紀元前10世紀の弥生時代に日本では水稲耕作が始まり血縁集団が現れる。紀元前1世紀半ばに大陸との貿易が始まると朝鮮半島に貿易船を出すために多くの人手が必要となった。このため北九州などでは人口2000人くらいの小国が出現する。これが豪族である。
彼らは中国や朝鮮の小国と貿易・外交を行った。金印をもらった奴国の王や卑弥呼がここに述べる様な豪族である。
3世紀、大和朝廷という有力な集団が奈良盆地南東部の纒向という地に現れる。この王家はまず奈良盆地東部の物部氏、春日氏の豪族と豪族連合を形成し、奈良盆地西部、河内へと進出する。6世紀、継体天皇が登場すると中央集権志向が強まって行く。継体天皇の意向で最高神天照大神の祭祀が行われ、中臣氏が祭祀を監督し神話の整備を始めた。
7世紀末、天武天皇の時代に祈年祭が始まり「天皇が国内の神のただ一人の祭司である」という原則が確立する。
701年大宝律令が完成し中央集権国家の体制が整って行く。この中の神祗令には天皇の意向の元で神祇官が行う祭祀の詳細が定められている。
平安時代の半ばにまとめられた『延喜式』には朝廷から奉幣を受ける神社が記されおりこれらを「延喜式内社」と呼びその多くは今でも存続している。
その他の知識