映画 ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜 (2009)

時代は戦後の闇市華やかなりし頃の日本で主人公の大谷は流行作家で死にたい死にたいと漏らしていた。で結局愛人と水上温泉で心中未遂するところまでが描かれている。何となくストーリーは一貫しているように思えるが各エピソードにリアリティーというか熱気が感じられない。達者な役者が淡々と演じている感じがする。これは演出によるものか。丁寧語が多用されているというのもあるだろう。ただ椿屋の店主が怒鳴り込んでくる場面は迫力満点で素晴らしかった。

ヒモ、上玉の女、タンポポの花一輪の誠実、コキュ、人非人、グッドバイというキーワードが出てくるがそれらを極めるというところまで行っていない。表現の仕方がとても表層的である。言葉を出さずにああこれがそうなのかと気づくような表現を見てみたいものだ。例えばずっと生きてきてああこれが人生の墓場なのかと気づく様に。

吉松隆氏の音楽が使われているという事で再鑑賞したが抒情的で本格的な音楽が場面は少ないながら顔を出していた。