映画 めし (1951)

朝日新聞に連載されていた林芙美子の未完の小説の映画化である。結末までわかるのかと思って観たがやはり中途半端な曖昧な終わり方だった。

物語は原節子上原謙演じる新婚夫婦の軋轢を描くものである。サラリーマンの初之輔と専業主婦の美千代は大阪で二人暮らしをしている。当時の道頓堀や法善寺横丁の実写シーンを見る事が出来る。美人で姪の里子が居候となって波乱を巻き起こす。美千代は不満を募らせとうとう川崎の実家に戻り東京で就職しようと模索する。

題名の「めし」とは、初之輔が発する「お腹が空いた」、「めし」という言葉のことであり、家庭における隷属の象徴であるという。田舎の家庭生活が嫌で都会で働きたいと考える女性がようやく出始めた頃の映画だろう。