本書は明の時代に浙江省出身の詩人瞿佑(くゆう)によって編纂された怪異小説集である。このような小説集としてはすでに東晋の時代に『捜神記』が、魏晋南北朝の時代に『幽明録』がある。
目次を見て行くと「牡丹燈籠」がある。巻の二 地獄の夢、天台山の隠者、聚景園の女を読んでみた。
「地獄の夢」の主人公、冷狐譔がある日詩を詠んだら地獄から二匹の鬼卒がやってきて冷狐譔を地獄へ連行するのである。その時の詩を紹介する。
《百金つかえば魂かえる
公私の別もあらばこそ
神も仏も金次第
天道様も知らぬ顔
貧者に加護などあるものか
天の恵みは富者だけ
はやくもここに気づきなば
子孫に財を残せしに》
地獄の役所で閻魔大王と面会した冷狐譔は自供書を書いたところ大王に気に入られ、罪をゆるされて地獄の様子を見学して帰ってきた。
他二篇も読んだが大した事ないので省略する。