古都サヌアの破壊された建物が映し出される。ナレーションによるとイエメンへの空爆は3年以上続いているという。少年兵アブメドが映し出される。自宅の窓から飛行機を撃ち落とそうと銃を構えている。妹とアブメドの会話が入る。「ママに怒られるわよ。祖父の古いライフルは錆びて使えないよ。」と妹は言う。このシーンはおそらく打ち合わせして作った三文芝居である。
2015年3月から空爆が始まったと言う。サウジアラビア主導のアラブ10カ国連合軍が反体制派の地域を空爆している。映像が挿入される。ビルが吹っ飛び燃え上がる。ものすごい火力の空爆である。登場人物はアフメド11歳、妹リマ9歳、親戚ユーセフ9歳である。3人ともきちんとした身なりでリマは医者志望、ユーセフは歯科医が志望である。アフメドもクラスでトップの成績だったと言う。この三人が今回の少年記者団である。まず街頭で子供達にインタビューする。
きちんとした身なりの子供たちが順番に答える。町を囲んでいるのはヌクム山という聖なる山でそこが空爆されたと言う。地下室に避難したと言う。学校で習った知識でサウジの事をやんわりと非難する。アラブ連盟の事も批判する。村に疎開した子供もいる。
ここで取材班が子供達にヨーロッパ諸国、EUについて調べなさいと入れ知恵をする。今のところEUの取り組みはサウジアラビアへの武器禁輸だけである。
祖母宅を訪問する。祖母は見たところ裕福で教育レベルも高く、家には地下室もある。立派な居間でインタビューを受ける。自分たちの取り組み、空爆への備えについて語り、子供達に国連のことを教える。国連事務総長総長パン・ギムンとかいう人をつり目で、物事がよく目が見えない人と批判する。パンは文化も歴史もあるイエメンの人々の事をアリ同然と思っているという。
アフメドは記者として張り切っている。取材前にヘアスタイルを整え、ネスマ・アル・クミムを取材する。薪と水を運ぶ姿がSNSで評判になった美人である。ユーセフが聞くと子供が二人いる既婚者だった。彼女のEUへのメッセージ。「イエメンに平和をもたらすために行動してください。イエメンの人々は今空爆と略奪の挟み撃ちにあっています。」
母を失った兄弟にインタビューする。共同墓地で母のお墓に花を手向けている。寝室で子供に覆いかぶさった母に流れ弾が当たり死んだという。
破壊された建物の中で男にインタビューする。午前一時に地獄が訪れ娘が死んだという。怒りで体が震えたのだという。この人の娘を抱いた写真もSNSで有名になっている。
サヌアにある小児科病院を取材する。ロビーの電気は消えICUで稼働しているベッドは4つであるという。サウジらによって海上封鎖され物資が不足しているのだ。
2016年10月には葬儀に集まっている人々が空爆され140人が死亡し500人以上が負傷した。アフメドらはこの場所をラッパーと訪れる。ラッパー二人と、少年記者団が新作のラップを演じる。
〜イスラム教徒が同胞を殺し子供達を威嚇する〜
〜俺は呼びかける慈悲深い神よ〜
これはライブというよりはスタジオ録音でアフレコされたもののようだ。クオリティが高い。流石にフランスのドキュメンタリーである。
(続く)