BSドキュメンタリー イエメン内戦 少年記者団の伝言 続き

(前回の続き)

画家サヴァのアトリエを訪問する。彼女は戦争をテーマに描いている。元にしているのは新聞の写真などである。傷ついた人々の絵や割と抽象的な絵もある。EUに伝えたいメッセージを少年たちに促されスマホに録音する。

病院に次々と運ばれて行く負傷した子供たちが映し出される。

風刺作家を訪問する。この状況ではほとんど作品は書けないという。タイズから越してきた理由を聞かれる。市街戦が行われているタイズよりミサイルで狙われるサヌアの方がマシだという。自転車に夢中な息子はミサイルは怖くないという。イエメンが攻撃される理由を聞かれると、私にも内戦が起きた理由がわからない、戦っている当事者にもわからないだろうと言う。彼らは外国に踊らされているゲームの駒だと言う。サウジの人や子供達を恨んではいけない。問題はサウジ政府だと言う。記者団に勧められてEUにビデオメッセージを送った。

軽症の子供達にインタビューする。インタビューに対し状況と怪我の具合を的確に答えている。手術を受けたり指を失った子供もいた。都市の爆撃といえばバクダッド、アレッポのものをドキュメンタリーで見てきたがロシアの空爆が一番恐ろしいと思った。

難民キャンプが映し出される。国連の調べでは難民の数は200万人以上だと言う。大人そして子供が窮状を訴える。ここの人たちはやはり身なりが良いとは言えない。大人は声高に窮状をまくし立てている。街はずれにある農場を訪れる。ここで暮らしている少女をインタビューする。爆撃され両親、叔父、兄弟が死んだと言う。少女だけがブランコに乗っていて助かったと言う。瓦礫を見て回る。少女は叔父に引き取られたと言う。

記者団と少女の後ろ姿が映し出され、ナレーションがこう告げる。「ヨーロッパや他のいくつかの国々は今もサウジアラビアへ武器の売却を続けています。」

最後のこれは曖昧さのあるコメントだが、中国の武器売買、フーシ派を支援するイラン、アルカイダ傘下のアンサール・アル・シャリアの事はとりあえず伏せて、子供を守るための世論を喚起しようというこのドキュメンタリーの目論見が垣間見えてくる。