三浦綾子の1976年の小説である。今140ページまで読んだところである。孝介とあき子の披露宴の場面まで来てだんだん面白くなってきた。孝介一家の赴任先ハマベツの描写がある。
《ハマナスの花の一群が風に揺れている。その向こうに、七月の太陽にきらめく海があらわれた。砂山を登るにつれて、海は広くなる。登りきると、足もとは熊笹におおわれた崖で、眼下にハマベツの海岸部落があった。》
フォークナーの小説に行く前にちょっと読んでおこうと思ったのだが、三浦綾子はなかなかの名手だと思う。きれいごとばかりではなくどす黒いものも描かれており、テレビドラマ化はできないように思われる。
孝介の元婚約者貴乃は、完治に犯されて完治の嫁になった。あき子は完治の妹である。