フォークナー 八月の光 (5)

ジョー・マッケカン(クリスマス)の成長過程が描かれている。

《彼ら五人は夕暮れの中で、捨てられた製材小屋の近くにひっそり集まっていて、そのひしゃげた戸口から百ヤードほど離れたあたりに隠れて、見張りながら待っていると、黒人の娘がその戸口に近より、ちらと後ろを振り返ってから中へ消えた。仲間うちでは年上のひとりがこの手筈をととのえたのであり、彼が一番に入っていった。残った四人は藁を引いて順番をきめたのだが、いずれもこのあたり三マイル四方に住んでいて、同じような仕事服を着ており、その一人でジョー・マッケカンと呼ばれる少年と同様、誰も十四か十五の年ながら、大人なみに耕したり牛乳を絞ったり木を切り倒したりできる連中だった。藁の籤をひいたときにもたぶん彼はこれを罪と考えてさえいなくて、ただ家で彼を待っているあの人物を思うとそんな気がするだけだったのだ、というのも十四の年頃では、自分が童貞だとおおっぴらに言いふらされることのほうが、ずっと大変な罪だったのだ。》

だが彼はこの時に童貞を失ったのではなく、もっと大きくなってから町のいかがわしい食堂の娼婦の彼氏になったのである。そしてダンスパーティーの場で養父を殴り殺す。いつかはそうすると決めていたらしい。

ほぼ小説の中間地点だがこれがクライマックスだろうか。罪と罰みたいな小説だろうか。