シルクロード第2部(7)バクダッドの彼方へ

最近はシルクロード刑事コロンボ、シャーロックホームズの冒険と再放送が続いているのでうれしい。今回のシルクロード第2部(7)ではマルコポーロの旅程を辿っており、チグリス・ユーフラテス川下流の湿原マーシュランドを取材している。泥と葦で作った水上の住居とそこに住むアラブ人の映像が現れてくる。牛を飼ったり葦を加工したりして生計を立てていることがわかる。

昔読んだ本に『湿原のアラブ人』 ウィルフレッド・セシジャー (1964)があるので要約を紹介する。

イートン校、オックスフォード大の出身の貴族で王立地理協会会員であり探検家のウィルフレッド・セシジャーはサウジアラビアクルディスタンを旅した後、とても気に入ったのかイラク南部の湿地帯に長期滞在しこの本を記した。

チグリス川、ユーフラテス川に挟まれたこの一帯はアマダンと呼ばれる人々が昔ながらの生活を営んでいる。イギリス人の著者は領事館の伝手を利用して有力者のもてなしを受けながら湿地帯の奥深く探検する。文章は格調高く、ずるくてお人よしのアラブ人をよく観察し、笑い話のようなエピソードもありそのまま映画の脚本になりそうなくらいの内容である。

イラクではどちらかと言えば虐げられている彼らはシーア派である。第5章の冒頭にさらっとであるがアリーと彼を崇拝するシーア派が出来た経緯が述べてあるが、この様な本質をついた分かり易い解説にお目にかかったのは初めてである。歴史をよく知るにはオックスフォード大で膨大な文献に当たり、各地を踏査するくらいで無いとまだまだ甘いのだろう。