映画 白蘭の歌 (1936)

これは日本映画専門チャンネルで放映されたもので、大変見所の多い映画である。あらすじを述べる。

日本人技師の松村(長谷川一夫)と満洲人で音楽学校生の雪香(李香蘭)の2ショットが最初から出てくる。もう恋人同士かと思ったがそうでは無いようだ。ここでは奉天の郊外と市街の実写を見ることができる。馬車や牛車が走り、たまにバスが走って行く。

拠ん所無い事情から松村は滿鐵を退職して開拓団の村に入植する事になる。松村が弟と弟の許嫁とともに着いたのは満ソ国境近くの八虎力という村であった。駅の周りは野原である。牛車に乗って村に向かう。ここでは村での実際の生活が紹介される。いかにも楽しそうに見える生活だが、この映画は入植者を募集する国策映画でもあるので、だいぶ美化されているのである。

雪香は実家のある承徳で療養中だったが居てもたまらず松村に逢いにゆく。すると家の中に弟の許嫁が居たので誤解した雪香は雨の中を走り去っていった。次に彼女と会うことになるのは、抗日軍の軍使となった雪香と戦場での再会の場面である。戦場といっても鉄道の建設現場であり、その後抗日軍の急襲をうけた松村は雪香とともに戦闘の犠牲となる。戦闘とはいっても関東軍は何処かに行っており、銃を持った人夫と技師たちが応戦していたのである。ご存知の通り入植した農民もいずれは徴兵されて関東軍の兵卒となり、ソ連侵攻前に帰国した上官以外はみんな捕虜となってシベリアの収容所で辛酸を舐めることになるのである。