映画 バガー・ヴァンスの伝説 (2000)

ロバート・レッドフォード監督の美意識が作品の随所に現れている。例えば映像の美しさ、端正なオーケストレーション、或いは大人の夢が詰まったストーリーがそうである。

ジョージアの大富豪インヴァゴードンが心血を注いで作り上げた世界最高のゴルフコースは、大恐慌による営業不振から競売にかけられそうになる。娘のアデールが父の遺志を引き継ぎゴルフ場の再建に乗り出した。債権者を説き伏せ全米レベルのゴルフマッチを開催して観客を呼び込むことを目論む。美人で魅力的なアデールは全米トップのプレイヤーの二人に出場を承諾させることに成功する。だがもう一人、地元のかつてのスター(と言ってもまだ若いが)ジュナを説得して出場させなければならない。

ジュナはアデールの元婚約者で戦争に従軍後姿をくらましてしまい、今では地元にひっそりと住んでいるのだった。彼のことを親から聞かされて憧れていた少年とアデールの説得により、やっとの事、ジュナは出場する事になる。練習を開始したジュナの前に現れたのはバガー・ヴァンスと名乗る不思議な黒人のキャディーだった。

これだけの設定があり、いよいよ本題に入るのである。先にも述べたように風景は美しく、登場人物も皆魅力的である。多分原作の小説の通りに話は進んで行き、試合の結果に観客は拍手喝采して終わる。つまりハッピーエンドだったのである。まあここがクリント・イーストウッド監督の作品と違うところで、ほろ苦い結末を敢えて避けたのだろうと思うのである。