映画 疑惑の影 (1943)

日曜映画劇場において1980年代に放映されたことがある作品だが、このような白黒映画を実際に茶の間で見た人は驚いたのではないだろうか。NHK BSでヒッチコック特集として放映されるべき映画である。アメリカ国立フィルム登録簿にも登録されているので何らかの価値があるのだろう。

サスペンスとしては古典的な、自己顕示欲の強い犯罪者が登場して、義家族との間にちょっとしたトラブルを巻き起こす。殺人事件の容疑者としてFBIに追われているチャーリーは姪と仲良しであり、姪の住むカリフォルニアの田舎町の家にしばらく厄介になることにした。金持ちのやさしい叔父さんとして歓迎されるチャーリーだが、そこにだんだんと疑惑の影が射してくるという話である。

姪は美人で聡明なキャラクターで、周辺には黒人の姿はない。白人社会のいびつさを描いた映画であり、移民の刑事コロンボが登場するテレビドラマが人気を博するのはそれから25年後である。