岩波文庫 ユグルタ戦争 カティリーナの陰謀 (6)

ユグルタの査問の場面は何度読んでも面白い。少しだけ引用しておこう。

《このようにしてユグルタは王の威厳に反して、精一杯憐れみをそそる身なりで、カシウスとともにローマにやって来た。そして彼自身には大いに自信があったのではあるが、例のあの人全員ーーこの連中の権勢と犯罪によって彼は私がこれまで述べてきたすべてのことをやってのけたのであるーーに励まされて、護民官ガイウス=バエビウスを巨額の報酬で買収し、この人物の厚顔無恥によって、法に対してもあらゆる危害からも守られるようにした。》

いよいよ査問の集会の場面で起こったことは目を疑うような光景だった。査問が始まりメンミウスが話し終わるやガイウス=バエビウスがユグルタに沈黙を命じたのである。集会は混乱のうちに幕を閉じ、ユグルタはまたもや難を逃れたのである。この意外性、ドラマにして見てみたい気がする。