映画 ブーリン家の姉妹 (2008)

 これは長い長いヘンリー8世の物語のほんの一部であるが随分と波瀾万丈な悲劇となっている。

 男子を授からない王妃がことの発端である。ヘンリーは新たな愛人を求めて貴族の領地で狩猟を行い、気に入ったメアリーを王妃の侍女にして女児をもうける。がこの子は認知されず庶子となった。次にメアリーの姉アンに粉をかけるのだが、アンの態度はなかなか強かで、結局ヘンリーは王妃と離婚することで教皇から破門される。だがアンも男子を産むことができずに政争に巻き込まれ魔女として処刑されたのである。

 と、このようにあまり面白くもないようなストーリー(かなりフィクションが入っている)ではあるが、この映画は光と影の魔術ともいうべき作品で、各シーンが西洋絵画に見えるように作られているのである。

 史実に戻るとヘンリーはトマス・モアも処刑したしクロムウェルも処刑した。フランスとは何度も戦争し財政も破綻させた。だが文化人でもあったヘンリーは文章や曲を残している。ルネサンス風の曲である"Pastime with Good Company" が有名でCDもあるし、演奏会でも取り上げられている。ハーマンズ・ハーミッツの『ヘンリー8世くん』は駄曲だが1965年のビルボード一位に輝いている。