映画 他人の顔 (1966)

 まあ空前絶後の制作スタッフだし、原作者の脚本で2時間にまとめた作品ということで、文句を言う様な筋合いもなく、よくぞ残してくれたというべき作品である。

  安倍公房のセリフがちりばめられている。と言うことは一種饒舌なのであるが、嘘つきのそれではなく予防線から飛んでくるという性質のそれである。社長との会話、妻との会話、精神科医との会話で少しづつ効果が違ってくる。秘書との会話が一番面白い。

 精神科医の協力の元、ついに他人の顔が完成する。その結果はというと、一番気にしていた世間一般の反応は大成功となり、妻には勘付かれたが演技され、知的障害者には全く無効というものだった。その後自暴自棄になったのか管理社会に挑戦するべく痴漢で逮捕されてみたが、診察券から身元がバレ、単なる精神病患者という扱いを受けるのである。

  シュールな笑いで終わればよかったと思うが、映画としては蛇足が多かったかもしれない。