映画 野のなななのか (2014)

 為政者による戦争への誘導を国民が一回でも止められたらそれは人類の歴史のエポックになるだろう。

 大林宣彦監督作品をもう一つ観る。3時間弱の長大な作品だが、自主制作反戦映画っぽいものながら、美人女優とベテラン俳優を揃え、マニアックでファンタジーの要素もあるという映画である。元開業医鈴木光男(品川徹)の晩年から始まって、彼の死去、葬儀、49日までを描いている。戦争の悲惨さがテーマではあるが、ストーリー自体はプライベートな事柄だらけで、当事者の真剣な苦しみが伝わってはこなかった。ソ連侵攻による樺太の悲劇は三浦綾子の小説『天北原野』の方がリアルに伝わると思う。

 かなり批判的になってしまったが、結局伝わってきたのは、本物の美人っていいなあというのと、幽霊が出てきてもなんの解決にもならないじゃないかという疑問である。