映画 トテチータ・チキチータ (2012)

東日本大震災後の一家族の物語だが、霊的に太平洋戦争と交わる部分もあり寓話めいている部分もある。

 前世家族だった三人が福島の白河市に導かれる様にしてやってくる。これは凛という少女が仕組んだことで、そこには今はもう老齢の戦災孤児百合子が一人で住んでいるのだった。凛は彼女の母として、高校生の健人は父として、リフォーム詐欺の一徳は兄として彼女の前に現れる。霊的なものなのか認知症のためなのか百合子は一瞬にして家族が来てくれたと悟るのである。

 ひとときの幸せを味わった後、周囲の干渉で皮肉な結末を迎えるのだが、百合子が息を引き取るとき、兄が駆けつけて看取るのである。天に昇った百合子はドラゴンになって凛と健人の上に感謝の霧雨を降らす。

 演出も巧みだし、エンディングに物凄い名曲が現れて仰天した。忘れていた曲名を確認するためにエンドロールを最後まで鑑賞せざるを得なかった。