原作の和訳を読了した。長女のゴネリルが王と100人の家来を城から追い出し、暗殺まで企てているという場面である。
『第一幕第四場
(略)
アルバニー その目がどこまで先を見透せるのか、私には解らぬ、万事、良かれしと努めて、その結果、良い事まで打ち毀してしまう事がよくあるものだ。
ゴネリル 大丈夫、そうなったら––––
アルバニー よい、よい、結果を見てからだ。(福田恒存訳) 』
ここに出てくるアルバニー公が最後は悪を成敗し、陰謀は暴かれる。 凄い作品だがこれを描いたシェークスピアにはギリシャ悲劇というお手本があるわけである。読了後もう一度映画を見たが、エドガーが両目を失った父を連れまわしたり、エドモンドを打ち果たす場面は映画では省略されていた。
悲劇とはいえこれは言ってみれば貴族ワンダーランドで、それを傍観する庶民はむしろ知恵がある存在である。だから特にハッピーエンドにする必要はないのである。