アレクサンドロス大王東征記(1)

 今回は上下巻の通読を試みる。

右はドラクマ金貨のレプリカ

 本書は全7巻とインド誌からなる。第一巻はどうということもなかったが、訳者まえおきに注目すべき記述があったので引用する。ピリッポスはアレクサンドロスの父である。

『ピリッポスの「近代化」政策のひとつは、国内各地に都市(ポリス)をつくることだった。久しく山野に散居して、わずかな数の羊をたつきの糧とし、孤立不安の貧しい暮らしをつづけてきた大方の住民は、この政策のおかげで各地に建設された「街の住民」となり、「立派な法や慣習」もととのえられて、ギリシア人にも劣らない安定した生活の基盤を約束されることになった。』

『ポリス市民軍型の「王の軍隊」創出を目ざした都市共同体づくりの一方で、ピリッポスが併行してその実現に取り組んだいまひとつの「近代化」改革は、部族王や豪族たちによる伝統的な地域支配の解体と、中央集権的な王国統合の達成だった。民衆の市民化によって従来からの地域統合を分断された、地方の部族王や豪族たちは、首都のペッラに移り住んで、集権的な王の統治を支える官僚貴族あるいは宮廷貴族に変身することを余儀なくされた。』

 これは国力を飛躍的に増大させる普遍的な方法だと思う。まるで明治維新のようだ。イランはこれに失敗し、元に戻ってしまったと考えられる。