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映画 血と骨 (2004)

  戦前に済州島から日本に渡って来た在日一世である金俊平の一代記である。俊平は大阪に大型船でやって来て蒲鉾工場で働く。同胞の女性を妻にして二人の子をもうける。花子と正雄である。花子は父と夫のDVに耐えられずに自殺している。正雄も父のDVが原因で家を出て行ってしまった。この物語は息子である正雄の視点で描かれたものとなっている。

  俊平は幾つかの蒲鉾工場で働いた後自身の蒲鉾工場を立ち上げる。それで儲けたお金で高利貸を始め財を築いている。本能的とも言える才覚だが貧民のコミュニティでのし上がるには他の貧民たちを搾取すれば良いという法則の通りに行動している。勿論手法は超ブラックで従業員をこき使い文句を垂れた従業員はぶちのめしている。貸付金の取り立ても暴力で行う。

  その一方で俊平は日本人の愛人を囲い妾宅に住まわせるのだがこの女性は不妊の上、脳腫瘍で倒れ介護が必要となる。俊平は考えた挙句、子連れの愛人を連れてきて、彼女に介護をさせるようにする。だが俊平も脳卒中で倒れ結局この愛人に貯めたお金を持って行かれた。

  長年連れ添っていた本妻もお腹の病気で倒れ他界する。一人になった俊平は不自由な足を引きずりながら高利貸を続ける。いよいよ高齢になり俊平は正雄に事業の引き継ぎを申し出るがあっさり断られる。最後は愛人に生ませた男の子を連れて北朝鮮に渡り赤貧の中で昭和59年に亡くなった。亡くなった時の映像は想像によるものだろうがよくできていると思った。

  全体的には自伝的小説にありがちな美化もあり演出もあざとい感じがするが朝鮮人コミュニティの様子やメンタリティが良く伝わってくる作品だ。