安部公房

カンガルーノート (5)

第5章に入る。この辺りからは初期の短編に近い感じになっている。新交通体系研究所という看板を掲げた民家に、変なアメリカ人とトンボ眼鏡が同棲している。そこの空き地に主人公は居候する事になる。民家のそばに踏切があり電車が近づくとRUNの表示が出る仕…

カンガルーノート (4)

しばらく温泉地での話が続くかと思ったら意外にも次の場所に移動する。トンネルから鉄砲水が噴き出してきて主人公はベッドごと流されて行く。着いたところはキャベツ畑、気がつくと満月の夜、三味線を持った老婆が現われる。顔には皺が刻まれていて眼が無い…

カンガルーノート (3)

船が暗渠水路を進むと滝壺に落ち、船はバラバラに壊れベッドだけが河原に乗り上げた。周りの景色は夕暮れか朝焼けの荒涼としたもので、硫黄の匂いが鼻に付く。川は水がきれいで40度の露天温泉となっている。主人公が露天温泉に浸かっていると市の職員が現れ…

カンガルーノート (2)

次にシュールな笑いが込み上げてくるのは、地下運河をフェリーで行く主人公のベッド上での事である。点滴袋がいつの間にか雄の烏賊に代わっており、迫り来る雌の烏賊と合体し烏賊爆弾となり老舗デパートを爆破するという状況になる。事情は父の遺品にあった…

カンガルーノート (1)

息抜きにカンガルーノートを読んでみる。1991年刊の安部公房の小説である。 新聞記事より 廃駅の構内で死体が発見された。脛にカミソリを当てたらしい傷跡が多数見られ一見ためらい傷を 思わせたが、死因とは認めがたいとのこと。事故と事件の両面から調査を…