岩波文庫  アインシュタイン著 相対性理論 (3)

ほぼ毎日読んでは頭にすっと入るかどうかを基準に進んでいる。やっと静止系に対し速度vで運動している慣性系での剛体の長さlがどの様に短縮するか、その式を計測に使われる時計の定義と光速度不変の物理学的事実から導くところまでがわかってきた。ニュート…

岩波文庫  アインシュタイン著 相対性理論 (2)

物理学や数学は頭の中で処理が終わらないとわかったとは言えないので、この本も時間がかかる。サラッと書いてあることでも相当に難しいので、すっと理解できるところまで行くには数十時間かかるような気がするのである。ひょっとするとこの本で一生が終わる…

岩波文庫 アインシュタイン著 相対性理論

今頃になって相対性理論を読んでいるのもおかしいが、この本で取り上げている論文は『動いている物体の電気力学』だけであるので何となく敷居が低そうだ。 運動学、力学だけの世界に電気・磁気が絡んでくると、ついには相対性理論まで行ってしまうのかと思う…

岩波現代文庫 無罪を見抜く (2)

著者が最高裁の調査官になった時の仕事について語られている。とても面白いので紹介する。 《ーー具体的な仕事の内容はどういったものですか。 木谷 やり方は、週に一遍、その一週間に提出された上告趣意を読みながら事件を「選別」する日があるんです。それ…

岩波現代文庫 無罪を見抜く (2013)

本書が単行本で出たのが2013年のことで、著者の木谷明氏75歳の時である。最近Eテレで姿を拝見したので2020年3月に出た文庫を購入した。テレビでこう言っていた。 「神様と被告人以外は本当の事を知らない。法廷の中にいる人の中で真実を知っているのは被告人…

岩波文庫 ユグルタ戦争 カティリーナの陰謀 (7)

結局ユグルタの数々の不法行為がローマ人の怒りを買う事になり、両国は全面衝突する事になる。ローマ側からはメッテルス、次にマリウスという勇敢な将軍が送り込まれ、ユグルタを追い詰め、最後は捕獲する。攻略した町は多数で、機略に飛んだ面白い戦闘も書…

岩波文庫 ユグルタ戦争 カティリーナの陰謀 (6)

ユグルタの査問の場面は何度読んでも面白い。少しだけ引用しておこう。 《このようにしてユグルタは王の威厳に反して、精一杯憐れみをそそる身なりで、カシウスとともにローマにやって来た。そして彼自身には大いに自信があったのではあるが、例のあの人全員…

岩波文庫 ユグルタ戦争 カティリーナの陰謀 (5)

ヌミダエ人の由来についてサルスティウスによる解説がある。かいつまんで言うと船でイベリア半島に渡ってきたペルシア人がアフリカに出て行き、現地人と混血しながら東進し、カルタゴと接するところまで来たのがヌミディア王国なのである。 さてその後どうな…

岩波文庫 ユグルタ戦争 カティリーナの陰謀 (4)

もう一人の息子アドヘルバルは属州に逃げ込んだのちローマへ向かった。一方ユグルタはというと。 《そこで数日の後、莫大な金銀を携えた使者たちをローマに派遣し、彼らに次のような指示を与えた。まず旧い友人たちを贈物で堪能させ、ついで新たな友を手に入…

岩波文庫 ユグルタ戦争 カタリーナの陰謀 (3)

いよいよ本題に入って行くのだが筆の勢いが凄かった。当事者しか知り得ないようなやりとり、一字一句写し取られたような演説、湧き上がる恐怖心などが描かれている。ユグルタ及び買収されたローマ側の高官たちは随分あくどいことをやったものだ。だがそうい…

岩波文庫 ユグルタ戦争 カティリーナの陰謀 (2)

《私が書こうとしているのは、ローマ人民がヌミダエ人たちの王ユグルタとの間に起こした戦争である。(略)》 この後は言うほど明快な文章でなかったので、少し要約してみる。 背景として、著者はローマにおける門閥貴族の悪行、第二次ポエニ戦争の戦後処理…

岩波文庫 ユグルタ戦争 カティリーナの陰謀 (紀元前2〜1世紀)

日本に生まれれば岩波文庫は小学生の頃から目にするだろうが、長いし読んでもわからないような本である。高校生くらいには読めるようになるだろうが、その頃はもう時間が割けなくなる。大学生の頃読めばよかったとは思うが、もっと読みやすい本多勝一や西村…

岩波文庫 存在と時間 (5)

正直に冒頭に書いてしまったので、この後は手を替え品を替え同じような事を論述しているに過ぎない。比喩を用いたり、逆説風に論じたり、言葉を変えたり、時にはプラトンやデカルトを引用し、ある部分ではソフィストの言辞を批判しているように見えるのだが…

岩波文庫 存在と時間 (4)

改めて冒頭の部分を読んでみる。(P67) 《「というのも、『存在する』という表現をつかう場合、じぶんたちがそもそもなにを意味しているのか、きみたちのほうがやはり、ずっとまえからよく知っているのはあきらかだからだ。私たちの側はどうかといえば、以…

岩波文庫 存在と時間 (3)

方法論としての現象学を調べて行くとフッサールの主張は対象への接近度と観察者の直観を重視しているように見受けられる。データを取る対象を近代的視点から記述して行くと確かに失われれてしまうものが多くなる。人類学研究の理想は部族の一員になりきって…

岩波文庫 存在と時間 (1927)

この表題からは科学論文みたいに2ページくらいにならないのかという疑問が湧いてくる。哲学は自然科学ではないのだろうか。今の私には考える時間は青天井くらいに存在する。まだ読む前だが、ハイデガーの主張は結局ソクラテスのメノンに戻るだけだったらがっ…

岩波新書 モゴール族探検記 (2)

本文から少し紹介する。 《アブドル・ラーマン老人の二番目の息子が、ダバーという黒い汚いツボのようなものをもって来てくれた。これは、この村でつくるという。材料は、ブテ・イ・シリシとう一種の植物である。その根を乾かし、水車でひく。それを布でこし…

岩波新書 モゴール族探検記 (1956)

京都大学探検隊による1955年の記録である。著者の梅棹忠夫はこう書いている。 《わたしは、キャンプ地をさがすために、村の中を巡視する。まあ、なんというひどいところに住んでいるものだろう。どっちを見ても、赤茶けた岩山ばっかり。これは、世界の果てだ…

晩年の時間つぶし (14)

今週もまた同じように本と模型とスコアで時間の針を進め、週末は息抜きをする。映画も一本観る。 モゴール族探検記を二週間くらいかけて読む。著者はカンダハルからカブールに移動し仲間を待っているところである。 プラカラーの白とツヤあり黒を追加し、マ…

岩波文庫 シュルレアリスム宣言・溶ける魚 (2)

このような記述がある。 《二 シュルレアリスムにのめりこむ精神は、自分の幼年時代の最良の部分を、昂揚とともにふたたび生きる。それはなにか精神にとって、いましも溺死しようとしているときに、自分の生涯のすべてを、またたくまに思いおこしてしまうひ…

岩波文庫 シュルレアリスム宣言・溶ける魚 (1924)

とうとうここにぶち当たってしまった。若い頃当然読んではいたし、当時世間でもエピステーメー、蓮實重彦、冷し中華思想などで賑わっていた。蓮實氏の御子息は作曲家である。僕もシュールレアリスム風の絵を描いたり、作詞もしていたが長い間社会に揉まれて…

岩波文庫 ユートピア (1516)

天下国家を論じ、国のために官僚を志す若者なら『塩鉄論』と『ユートピア』くらいは読んでおくべきだろう。ただし『ユートピア』の方は皮肉が効いているので、読むと志望先が変わるかもしれない。 浮浪者然としたラファエル・ヒロスデイはこう語った。 《モ…

岩波文庫 トゥバ紀行 (2)

かなりローカルで稀少な歴史が綴られているのでここに記しておこう。(P159) 《アルタイの牧人と狩人は、ロシアの植民者によって絶え間なく、やせて不毛な土地へと追いやられた。一九〇〇年ごろ、シナで大衆が魔術にたけた義和団のまわりに結集したとき、同…

岩波文庫 エトルリヤの壺 (1830)

パリ生まれのエリート官吏で作家の、メリメによる短編集である。小説『カルメン』の作者である事はそれ程知られていないような気がする。本書は彼の異国趣味が前面に出ているような作品集で、中でも『タマンゴ』はそのまま映画になりそうな出来栄えである。…

岩波文庫 トゥバ紀行 (1931)

著者のオットー・メンヒェン=ヘルフェンはウィーン生まれの民俗学者で1929年にトゥバ入りし、調査活動に励んでこの書をものにした。とても理知的な人物でその文章からそれが窺われる。 《トゥバ人はいかなる肥料も用いない。降水量はわずかだし、犂はあまり…

岩波文庫 君主論 (2)

ゆっくり読んでいると面白い。このような記述がある(p75)。 《その上さらに、民衆を敵にまわしたならば、その数があまりにも多いために君主は身の安全を保ち得ないが、有力者たちならば、数は少ないから身の安全は保ち得る。民衆を敵にまわすことによって…

岩波文庫 君主論 マキアヴェッリ著(1532)

この書は序文にあるように、君主(メディチ家)に対する阿諛甘言を排したストレートな論文集であり、フィルドゥスィーの『王書』のようなものとは異なっている。非常に明快な文章なので少し紹介する。 《それゆえ言っておくがこの場合の政体、すなわち獲得の…

デカルトの幾何学

せっかく読んだので少し内容を紹介する。冒頭部分では線分と円を用いて四則演算ができる事を示している。 乗算 DB x BC を作図する。AB=1 であるとする。 求める積はBEとなる。線分ACと線分DEは平行になるよう作図する。 平方根 AB=1 としてBCの平方根を求…

岩波文庫 死に至る病 (1849)

デンマークの実存主義哲学者キルケゴールの著作である。少し引用するとよくわかるが、死と絶望の語句をもてあそんでいるように見える。(p32) 《さてこの究極の意味において絶望は死に至る病である。ーー自己のうちなるこの病によって我々は永遠に死ななけ…

岩波文庫 アンティゴネ (前5世紀)

オイディプスの死後、戦争が始まって二人の息子が相討ちになって死んだ。新しく王になったのはあのクレオンである。物語の発端はクレオンの出した命令である。攻めてきた方の息子のポリュネイケスの死体を埋葬せずに道端に放置し、これを埋葬したものは死刑…