映画

映画 人情紙風船 (1937)

これは河竹黙阿弥作の歌舞伎、通称『髪結新三』を映画化したものである。新三という長屋の住人がいろいろな事をしでかし、大金をせしめた後ヤクザの親分に始末されるという暗い話である。 映画そのものは至って普通の時代劇であり、武士の上下関係、婚姻の強…

映画 無宿 (1974)

勝新太郎、高倉健主演の任侠風のドラマだが、主題は一攫千金を夢見る玄造(勝)が刑務所で知り合った錠吉(高倉)と共に、海底に沈むお宝を探すというものだ。一緒についてくる女(梶芽衣子)は吉原の女郎で、上吉の情婦だった女郎の妹である。この玄造が女…

映画 トテチータ・チキチータ (2012)

東日本大震災後の一家族の物語だが、霊的に太平洋戦争と交わる部分もあり寓話めいている部分もある。 前世家族だった三人が福島の白河市に導かれる様にしてやってくる。これは凛という少女が仕組んだことで、そこには今はもう老齢の戦災孤児百合子が一人で住…

映画 演じる女 (2020)

照屋年之監督のインタビュー記事を読んで、この短編映画を視聴した。建設会社社長の最期の病床を撮ったもので、ドキュメンタリーではなく、完全創作の作品だが、中々独創的で、制作もギリギリ上手くいっているという感じを受けた。 冒頭の一般人ぽい人の呟き…

映画 パディントン (2016)

勿論このような物語はE.T.とか古くから類似したものが製作されているわけだが、これもその一つでロンドンの一家族の元にペルーからしゃべるクマがやって来たという設定の新作である。 赤い帽子にトランクを持ち漂泊するキャラクターは寅さんから来ているとは…

映画 エンドゲーム ~アパルトヘイト撤廃への攻防~ (2009)

冒頭からソウェト地区に潜入するエージェントが登場し、緊張感のある映像となっている。これがソウェト地区かという印象だ。ヨハネスブルグではテロが多発し、南ア当局はANC(アフリカ民族会議)との交渉を模索しているが、仲介しようとしているのはイギリス…

映画 マンデラ 自由への長い道 (2013)

白人が作ったマンデラ賛美の映画であり、概念だけで作ったような不思議な作品だ。決してこれをドキュメンタリーと思ってはならない。 ケープタウンで弁護士事務所を開いて活躍しているマンデラは、元は村の首長の息子だったが今ではまるでニューヨークのセレ…

映画 PLANET OF THE APES/猿の惑星(2001)

米国空軍の宇宙基地で猿を使った訓練の任務を行なっていたレオ大尉は探査ポッドで磁気嵐の探査中に操縦不能となり、ある惑星に不時着する。 ジャングルのような所に降り立ったレオが見たものは、戦国武将のような猿に追い回される原始人のような人間だった。…

映画 新・猿の惑星 (1971)

三匹の猿の科学者が宇宙船で地球に到着する。テイラー大佐の帰還だと思って迎えに出た軍関係者は、ヘルメットを取った猿を見て唖然とする。期待と驚きの落差がシュールな笑いをもたらすのである。三匹の猿は動物園での事故で二匹になった。コーネリアスとジ…

映画 奇跡の丘 (1964)

パゾリーニ監督の独特の演出によるマタイによる福音書の実写化である。旧約聖書を映画化した天地創造(1966)はこの前見たがそれなりにちゃんとしたものだった。この映画はイエス・キリストの一生が描かれるので聖書物語の後半部分と言ってもいいだろう。 説…

映画 跪く女 (2013)

スウェーデンの豊かな生活の一端を見たような思いを抱かされるが、あの国もまあ十分病んでいるという作品である。 新人で美人の教師イダは同僚の教師クリステルと新婚生活を始める。北欧なのでおそらく事実婚ではないだろうか。クリステルは頼りになる面もあ…

映画 ウィル・ペニー (1968)

冒頭でカウボーイたちの働く姿が出てきて、のんびりしているが野営したりと過酷な仕事の様子が描かれる。主人公は50前の初老のカウボーイでウィル・ペニーという。地味な容貌なので主人公とわかるまで時間がかかった。後でタフガイのチャールストン・ヘスト…

映画 月山 (1978)

小説を読みながら映画をもう一度見た。なるほどこれでは小説をすぐ発表できない事情があるなとわかる。法を犯している村人を密告するわけにはいかないのである。小説でいとこ煮が出てくるが、映画では接写がなくよくわからなかった。後で調べるとどうやら小…

映画 プロジェクトA (1983)

孫文、イギリス海軍、女王陛下というワードが出てくる割には、歴史とはほぼ無関係のただの京劇風の喜劇だったのである。主役のマー隊長が所属する水上警察は海賊を取り締まる役目の組織だが、予算の関係で海賊にやられっぱなしの状況にある。また町の有力者…

映画 燃えよドラゴン (1973)

007ドクター・ノオのような雰囲気を持つカンフー映画である。音楽もそのような感じだし、米国人も多く出てくる。ブルース・リーが秘密の島に乗り込んで内偵するというのはスパイ映画のようであり、三年に一度の武術大会に出るというのは、後のドラゴンボール…

映画 ショコラ (2000)

中世の村っぽいフランスのある村に、北風と共にやってきた母娘が巻き起こす騒動を描いたものである。伯爵はいるけれど村長だし、海賊もやってくるが紳士的である。主人公のヴィアンヌは薬剤師の父とマヤ文明の末裔の母から受け継いだ秘伝のチョコを広めるた…

映画 パリは燃えているか (1966)

このディズニーの御伽話のような映画は史実なのだろうか。特にパリをすぐ破壊せよと言ったヒトラー総統の命令を無視して連合軍に投降したコルティッツ将軍や、いろんな将軍と師団が健在でドイツの敗色が確定し、連合軍がパリ入城する直前になってパリに入っ…

映画 みなさん、さようなら (2003)

文化先進国カナダでの理想の看取り方が描かれている。キーパースンは息子のセバスチャンで、看取られるのは元大学教授のレミである。レミは末期の癌で治癒は絶望的だが、まだわりと元気である。妻の要請でセバスチャンがロンドンから帰国する。金持ちでやり…

映画 砲艦サンパブロ (1966)

米国の軍艦サンパブロ号が長沙に停泊中に中国の情勢が悪化し、自国民を保護する任務につくという話である。情勢が悪化する前は水兵たちは酒場で女を買ったりしていたが、国民党軍がやってきて煽動された民衆による排斥運動が起こるのである。サンパブロ号も…

映画 パリ警視J (1983)

この映画は見終わった後に、〜という夢を見たという結語が来て、やっとしっくりくるのでは無いだろうか。それほどこの主人公Jの大暴れぶりは度を超えている。 無法地帯と言われるマルセイユとパリを舞台に、ジョルダン警視がフランス最大の麻薬組織のボス、…

映画 樹氷悲歌 (1971)

見たままの映画である。明日山へいくという話が持ち上がったとき、もしやこのタイトルの意味するところは遭難では?と思ったがその通りだった。愁いを含んだ貴公子篠田三郎と美人の関根恵子が主人公である。伴淳三郎のいつものお父さん役はぴったりで揺るが…

映画 バス停留所 (1956)

冒頭の寸劇で、モンタナの牧場での練習風景がでてきて、これから主人公のボーがロデオ大会に出場するのだという。育ての親のような男ヴァージルがボーに同行する。事の発端はヴァージルがボーに対してこの旅行で女を見つけろと言ったことである。 長距離バス…

映画 評決 (1982)

仕事の少ない酒浸りの弁護士を演じるのがポールニューマンで、彼がやりたいようにやるという話だった。まず仲間の弁護士のアドバイスを無視し、クライアントの意向も聞かず、相手側からの好条件の示談を蹴って、公判へと突き進んだのである。 勝算はあるよう…

映画 カクテル (1988)

これは主演のトム・クルーズも思い出したくない作品だろうと思う。セリフが全部説明的だし、特に女性のセリフに説得力がない。主人公が行く先々で、セックスする相手が現れるというのも、村上春樹の小説のようで嫌である。 これも1988年の映画で、お金と女性…

映画 ワーキング・ガール(1988)

80年代NYのウォール街で働く女性の物語で業務内容は証券、裁定取引、M&Aと時代の先端を行くものである。主題歌は聞き覚えがあると思ったら、カーリー・サイモンの「ステップ・バイ・ステップ」で、日本では島田歌穂がカバーで歌っていた。 主人公のテス(メ…

映画 シャレード (1963)

見終わったので思い返しながら印象を述べてみる。ヘプバーンの演技に気合が入っている割に、ケーリー・グラントの冷静な演技がミスマッチで、年の差もありお似合いのカップルには最後まで見れなかった。若くて魅力的なヘプバーンの方が、グイグイと中年男に…

映画 翼にかける命 (1957)

原作がフォークナーの小説ということで、セリフがとても饒舌な感じがする。普通の映画ドラマのものとは異質である。 主人公の飛行士ロジャーはかつては第一次大戦で活躍したが、今は航空ショーに出て生計を立てている。美人の妻ラヴァーンと彼女に片想いして…

映画 グローリー (1989)

南北戦争で登場した史上初となる北軍黒人部隊の誕生から壊滅までを、優雅なタッチで描いた映画である。 指揮官のショー大佐は心優しい青年であり、部隊の訓練や備品の調達を統括したり、前線で指揮を執るという仕事までこなすのはやはり負担が大きすぎたわけ…

映画 ベン・ハー (1959)

ランダムに映画を10本観ると良いのは2本くらいで残りはカスのようなものという説があるが、そう思うとちょい気が楽である。若い頃なら良いが、優れた映画ばかり集めて観て行くのも疲れるのである。この映画はその2本に入るものだろうし、ハリウッド映画の最…

映画 アガサ・クリスティの奥様は名探偵 (2005)

元の小説がいいし、制作陣も俳優も優れていて観て楽しい映画だった。 フランスの湖畔に建つ瀟酒な家に住む仲良し夫婦が会話を楽しんでいると、施設にいる叔母に会いに行く事を思い立つ。オープンカーで美しい風景の道を楽しく会話しながら、古いお城を改修し…