映画

映画 Peace (2010)

想田和弘監督のドキュメンタリー映画。意外性があるし、登場人物は素人ながら役者のような(例えば山﨑努のような)風格がある。観察対象は相変わらず弱者をクローズアップし、介護の現場である。岡山の街の風景や自然が巧みに取り入れられ、人情や空しさも…

映画 精神0 (2020)

山本医師のその後について知りたいと思う人は多いと思うが、本編はそのものズバリの密着型ドキュメンタリーである。前半では患者との別れ、送別会、後半では妻とのプライベートがフィルムに収められた。華道の先生が登場して知られざる妻の過去について語っ…

映画 精神 (2008)

精神科クリニック、コーラル岡山を取材したドキュメンタリー。テレビとは違って、観察者がずいぶん対象に溶け込んでいる感じがする。監督兼カメラマンの想田和弘氏が患者に溶け込むのが上手なのだろう。診察風景から始まり、待合室、患者さん、ショートステ…

映画 拳銃魔 (1950)

主人公のバートは拳銃を愛好しているが、生き物を撃ったりはしないブッダのような人物である。それがことの成り行きで銀行強盗を生業とするようになった。ブロンド美人の悪い女に捕まったからである。バート自身は慎ましく生きながら、拳銃を愛好するつもり…

映画 春にして君を想う(1991)

田舎で一人暮らしをしていた78歳の老人ゲイリは住居ををたたんで都会に住む娘夫婦のアパートに身を寄せる。突然の訪問に驚く娘夫婦だが、結局ゲイリは老人ホームに送られることになる。そこで幼馴染のステラと再会した。 行雲流水の境地かと思いきや、今は廃…

映画 過去のない男 (2002)

長距離列車で都会の駅に降り立った初老の男、その夜はベンチで仮眠を取ることになる。そこへ3人組の男が現れ後ろから棍棒で殴り昏倒させる。金品のものを奪い、今度は瀕死になるまで棒で叩いて去って行った。男は病院に収容され命は助かったが記憶を失ってい…

映画 街のあかり (2007)

ヨーロッパのある街、若くハンサムな警備員コイスティネンが登場し、仕事の夜勤を始める。その上司、同僚も絡んでくるが、淡々とストーリーは進行する。どうやらコイスティネンは起業してムカつく上司を見返してやるつもりらしい。 説明は一切ないのだが情報…

映画 麦の穂をゆらす風 (2006)

アイルランドコーク県におけるアイルランド独立運動の物語で、独立派組織と英国軍のやりとりが、かなりリアルに描かれている。残虐なシーンが多いが、映画なのでこれでも自粛しているはずである。隣に強大で悪辣な国が存在すればまあこんなもんだろうと思う…

映画 アイ・アム・デビッド (2003)

ブルガリアの強制収容所から脱走したデビッドという少年が、母の居るデンマークまで辿り着けるかどうかという話。少年は母が生きているかどうかさえ知らないのだが、ギリシャ、イタリア、スイスと旅をしているうちに手助けもあり、遂に母と再会するに至る。 …

映画 ソフィアの夜明け (2008)

『ブルガリア17歳になりました』というドキュメンタリーと錯覚するような作りだが、実際は綿密な計算の元に俳優が演じている。 首都ソフィアに住むゲオルギは17歳の高校生だが、タバコを吸い、タトゥーを入れてネオナチグループとつるむようになる。兄のイツ…

映画 米中開戦 20XX年 悪魔のシナリオ(2019)

ニュージーランド・米国制作映画。 悪い事を予想させる雰囲気で進んでゆく。米軍の作戦シーンはそれなりにリアルだし、敵がほとんど現れないのが気になるが、低予算なので致し方ないのだろう。通信を駆使して米中開戦に誘導する謎の男が描かれ、それを追うFB…

映画 人情紙風船 (1937)

これは河竹黙阿弥作の歌舞伎、通称『髪結新三』を映画化したものである。新三という長屋の住人がいろいろな事をしでかし、大金をせしめた後ヤクザの親分に始末されるという暗い話である。 映画そのものは至って普通の時代劇であり、武士の上下関係、婚姻の強…

映画 無宿 (1974)

勝新太郎、高倉健主演の任侠風のドラマだが、主題は一攫千金を夢見る玄造(勝)が刑務所で知り合った錠吉(高倉)と共に、海底に沈むお宝を探すというものだ。一緒についてくる女(梶芽衣子)は吉原の女郎で、上吉の情婦だった女郎の妹である。この玄造が女…

映画 トテチータ・チキチータ (2012)

東日本大震災後の一家族の物語だが、霊的に太平洋戦争と交わる部分もあり寓話めいている部分もある。 前世家族だった三人が福島の白河市に導かれる様にしてやってくる。これは凛という少女が仕組んだことで、そこには今はもう老齢の戦災孤児百合子が一人で住…

映画 演じる女 (2020)

照屋年之監督のインタビュー記事を読んで、この短編映画を視聴した。建設会社社長の最期の病床を撮ったもので、ドキュメンタリーではなく、完全創作の作品だが、中々独創的で、制作もギリギリ上手くいっているという感じを受けた。 冒頭の一般人ぽい人の呟き…

映画 パディントン (2016)

勿論このような物語はE.T.とか古くから類似したものが製作されているわけだが、これもその一つでロンドンの一家族の元にペルーからしゃべるクマがやって来たという設定の新作である。 赤い帽子にトランクを持ち漂泊するキャラクターは寅さんから来ているとは…

映画 エンドゲーム ~アパルトヘイト撤廃への攻防~ (2009)

冒頭からソウェト地区に潜入するエージェントが登場し、緊張感のある映像となっている。これがソウェト地区かという印象だ。ヨハネスブルグではテロが多発し、南ア当局はANC(アフリカ民族会議)との交渉を模索しているが、仲介しようとしているのはイギリス…

映画 マンデラ 自由への長い道 (2013)

白人が作ったマンデラ賛美の映画であり、概念だけで作ったような不思議な作品だ。決してこれをドキュメンタリーと思ってはならない。 ケープタウンで弁護士事務所を開いて活躍しているマンデラは、元は村の首長の息子だったが今ではまるでニューヨークのセレ…

映画 PLANET OF THE APES/猿の惑星(2001)

米国空軍の宇宙基地で猿を使った訓練の任務を行なっていたレオ大尉は探査ポッドで磁気嵐の探査中に操縦不能となり、ある惑星に不時着する。 ジャングルのような所に降り立ったレオが見たものは、戦国武将のような猿に追い回される原始人のような人間だった。…

映画 新・猿の惑星 (1971)

三匹の猿の科学者が宇宙船で地球に到着する。テイラー大佐の帰還だと思って迎えに出た軍関係者は、ヘルメットを取った猿を見て唖然とする。期待と驚きの落差がシュールな笑いをもたらすのである。三匹の猿は動物園での事故で二匹になった。コーネリアスとジ…

映画 奇跡の丘 (1964)

パゾリーニ監督の独特の演出によるマタイによる福音書の実写化である。旧約聖書を映画化した天地創造(1966)はこの前見たがそれなりにちゃんとしたものだった。この映画はイエス・キリストの一生が描かれるので聖書物語の後半部分と言ってもいいだろう。 説…

映画 跪く女 (2013)

スウェーデンの豊かな生活の一端を見たような思いを抱かされるが、あの国もまあ十分病んでいるという作品である。 新人で美人の教師イダは同僚の教師クリステルと新婚生活を始める。北欧なのでおそらく事実婚ではないだろうか。クリステルは頼りになる面もあ…

映画 ウィル・ペニー (1968)

冒頭でカウボーイたちの働く姿が出てきて、のんびりしているが野営したりと過酷な仕事の様子が描かれる。主人公は50前の初老のカウボーイでウィル・ペニーという。地味な容貌なので主人公とわかるまで時間がかかった。後でタフガイのチャールストン・ヘスト…

映画 月山 (1978)

小説を読みながら映画をもう一度見た。なるほどこれでは小説をすぐ発表できない事情があるなとわかる。法を犯している村人を密告するわけにはいかないのである。小説でいとこ煮が出てくるが、映画では接写がなくよくわからなかった。後で調べるとどうやら小…

映画 プロジェクトA (1983)

孫文、イギリス海軍、女王陛下というワードが出てくる割には、歴史とはほぼ無関係のただの京劇風の喜劇だったのである。主役のマー隊長が所属する水上警察は海賊を取り締まる役目の組織だが、予算の関係で海賊にやられっぱなしの状況にある。また町の有力者…

映画 燃えよドラゴン (1973)

007ドクター・ノオのような雰囲気を持つカンフー映画である。音楽もそのような感じだし、米国人も多く出てくる。ブルース・リーが秘密の島に乗り込んで内偵するというのはスパイ映画のようであり、三年に一度の武術大会に出るというのは、後のドラゴンボール…

映画 ショコラ (2000)

中世の村っぽいフランスのある村に、北風と共にやってきた母娘が巻き起こす騒動を描いたものである。伯爵はいるけれど村長だし、海賊もやってくるが紳士的である。主人公のヴィアンヌは薬剤師の父とマヤ文明の末裔の母から受け継いだ秘伝のチョコを広めるた…

映画 パリは燃えているか (1966)

このディズニーの御伽話のような映画は史実なのだろうか。特にパリをすぐ破壊せよと言ったヒトラー総統の命令を無視して連合軍に投降したコルティッツ将軍や、いろんな将軍と師団が健在でドイツの敗色が確定し、連合軍がパリ入城する直前になってパリに入っ…

映画 みなさん、さようなら (2003)

文化先進国カナダでの理想の看取り方が描かれている。キーパースンは息子のセバスチャンで、看取られるのは元大学教授のレミである。レミは末期の癌で治癒は絶望的だが、まだわりと元気である。妻の要請でセバスチャンがロンドンから帰国する。金持ちでやり…

映画 砲艦サンパブロ (1966)

米国の軍艦サンパブロ号が長沙に停泊中に中国の情勢が悪化し、自国民を保護する任務につくという話である。情勢が悪化する前は水兵たちは酒場で女を買ったりしていたが、国民党軍がやってきて煽動された民衆による排斥運動が起こるのである。サンパブロ号も…