2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

フォークナー短編集 (11)

「バーベナの匂い」である。今度はすんなりと頭に入ってくる。文章が明晰そのものだからだろう。フォークナーにしては珍しく、人を小バカにしたような表現に出くわした。 《「なにか、わしにできることでもあったら」 「先生、ぼくの下男に新しい元気な馬を…

最近のアフガニスタン情勢

8/20(金)のロイターのニュース 2001年に過激派組織アルカイダによって暗殺されたアフガンの国民的英雄マスード司令官の息子、アフマド・マスード氏は米紙ワシントン・ポストへの寄稿で、「父の足跡をたどり、再びタリバンに挑む覚悟のあるムジャヒディ…

フォークナー短編集 (10)

残りの数ページを読んでみたら、思った以上の酷たらしい結末だった。サトペン大佐の態度にキレたワッシがサトペン大佐を殺す。この後のことに思いを巡らせたワッシは逃げることもままならぬと思い、全部終わらせる壊滅的行動をとる。その時の彼の思考を精読…

フォークナー短編集 (9)

「孫むすめ」まで来た。何だか読んでもちっとも頭に入って来ないので、部分的精読から入る。 《りっぱな容姿の種馬に乗って、農場を駆けめぐるのを見かけたものだった。その瞬間だけは、彼の心は平静になり、誇らしくもなった。つまり、彼にはこんなふうに思…

東洋文庫 日本神話伝説の研究 1 (1925)

長い総論があるがそれは読み飛ばして、各論のごく一部を精読する。 《七 素戔嗚尊の性質 高天原神話における素戔嗚尊は純然たる英雄神であるが、出雲神話においては、英雄神であるよりは、むしろ造化神であるように思われるところがある。伊弉諾伊弉冉二神の…

フォークナー短編集 (8)

いよいよ喜ばしくない場面が出るだろうと思って読み進むと、ミニー・クーパー嬢の生い立ちと近況が書かれていた。その後にはマクレンドンが帰宅して、自動拳銃をテーブルに置いたところで小説が終わった。マクレンドンは疲労困憊していたようだが、リンチし…

フォークナー短編集 (7)

いよいよ問題作「乾燥の九月」のところに来た。読んで行くと、この辺りの記述が問題の核心部分であるだろうとわかる。 《理髪師は剃刀をかざして、旅商人の顔をおさえつけていた。「まず事件の真相をつかむのが第一ですよ、みなさん。わたしはウィル・メイズ…

映画 アフガン零年 (2003)

昔観た映画だが、又見るのはしんどいので要約だけ紹介する。これからもう一度起こる事である。 タリバンの支配下に入った町では女子の就業は禁止されており、夫を亡くし経済的に困窮した女性たちがデモをする。乳飲み子を抱えた女性もいる。たちまちタリバン…

フォークナー短編集 (6)

日課であるフォークナーの読書をする。 この最後の場面では、ジェイソン、キャディーとナンシーの掛け合いが繰り広げられ、「私」は見ているだけである。だから一読目では、クウェンティンの目だけ存在するように感じたのだ。さてとうとう父親が迎えにやって…

フォークナー短編集 (5)

私(クウェンティン9歳)、キャディー(7歳)、ジェイソン(5歳)がナンシーの家まで夜道を行く。 《私たちは小道を下っていった。ナンシーは大声でしゃべっていた。 「ねえ、ナンシー、なんでそんな大きな声でしゃべっているの?」とキャディーはたずねた。…

フォークナー短編集 (4)

読み進んでゆくと「私」が場面に登場してちゃんと会話していた。 《「クウィンティンに、行って見てきてもらったらどうだい?」と父がいった。「おい、クウィンティン、ナンシーがもうすんだかどうか、行って見ておいで。もう家に帰ってもいいといってやるん…

フォークナー短編集(3)

『ある夕陽』まで来た。一読すると登場人物が交錯気味で、再読しなくてはならないようだ。殊に終わりの場面で出た「私たち」という言葉に引っかかる。私とは誰なのか。そんな人はいないような気がする。 冒頭の情景描写から熟読してみよう。 《しかし十五年…

つれづれ日記 (2)

LPコレクションを整理した。 いくつかLPを聴いた。 今のシステムがMCーL1000に最適になっているのでとても素晴らしかった。 iPad mini4 を導入したがもはやパソコンみたいになっている。 バリバリ作業するにはiPad mini3とLogicoolのキーボードの方がいいよ…

つれづれ日記(1)

フォークナーやドナルド・キーンを読むのが日課である。 たまに電子回路も研究する。 2SJ77の生死をチェックしてみると1個だけ変なのがあった。 大抵はショートモードで壊れているかダイオード化しているかである。特性を調べてみた。 一応動作しているが使…

フォークナー短編集(2)

『エミリーにバラを』 ジェファーソンに伝わる奇譚と言っていいのか、まあこれはエミリー・グリアソンの簡潔すぎる評伝である。彼女の葬儀から書き始められているが、彼女の一生は外から見ると社会に出ず引きこもって歳をとって死んだだけのように見える。表…

東洋文庫 中国革命の階級対立 1 (1930)

著者の鈴江言一は軍閥についてこのように述べている。 《軍閥の特質は、第一に、彼等が特に劣悪な素質の私兵を擁し、一定の勢力範囲を画定し、土地と住民に対する絶対的専制権を保持し、この専制政治のもとに、自由に課税ーー封建的軍事賦課の性質をもつーー…

フォークナー短編集(1)

新潮文庫版である。二つ目の『赤い葉』まで来た。情景描写があるので精読するために書き写しておく。 《午後早く、黒人は木のてっぺんから農園のなかを見おろしていた。イセティベハの遺体が、馬と犬がつながれている二本の立木のあいだにつるされたハンモッ…

東洋文庫 唐詩三百首 1(1973)

王維の五言古詩から紹介する。読み下し文を一部改変している。 〈送別〉 馬より下りて君に酒を飲ましむ 君に問う 何の之く所ぞと 君は言う 意を得ず 南山の陲に起臥せむと 但去れ 復問うこと莫けん 白雲 尽くる時無し 〈青谿〉 ここに黄花川に入るに つねに…

フォークナー 八月の光 (10)

読了した。事件は派手なアクション映画のような展開となって終結する。パーシー・グリムという25歳くらいの州兵が活躍した。老夫婦は検事に見送られて故郷に向かう汽車に乗る。ハイタワーは、最後の最後にこのいざこざに巻き込まれてしまうが、結局無事だっ…

フォークナー 八月の光 (9)

捜査を担当する保安官は偏見に満ちた無能な保安官というわけでもなく、そこそこ有能なようである。近郊にある黒人教会に現れたクリスマスを、犬を使って追いかける。だが靴を農民と交換していたクリスマスはまんまと追っ手を巻き逃亡生活の後、ゆうゆうとモ…

楽しい音楽鑑賞

写真を見ていただくとわかるように、稼働しているのはHMAー9500 II のパワーアンプと、Dualgate MOS のプリアンプである。カートリッジはVictorのMCー L1000 になっている。これでMountain DanceのLPを聴いている。 これでずっと聴いていたいと思えるような…