映画 蟹工船 (1953)

昭和の初めの小樽の港に蟹工船に乗る人々が参集する。蟹工船の仕事はきついがお金になるからである。集まる人々は夕張炭鉱、東北の寒村から来た者、怪しげな流れ者、親に無理やり行かされた子供などである。労働者の視点で描かれるが日本の外貨獲得、ロシア海軍との力関係などの当時の社会事情も顔を出す。

船は大量の蟹を獲る為にカムチャッカの方まで進出し乗り組んだ人々は過酷な労働を強いられる。時化にも遭遇し何名か犠牲者も出る。或る日時化のなか母船から蟹を取りに船を出せと言われた漁師が反乱を起こし工場長を取り囲み要求項目を述べる。それまでモラハラ、暴力体質で切り盛りしてきた工場長は態度を一変させ夜明けには良い回答をしたいと言い暴徒を解散させた。さて夜明けになると無線の連絡を受けた海軍の鎮圧部隊が到着し首謀者を射殺し一件落着するのである。

芸術祭参加作品でありドラマはドストエフスキー風であり音楽もストラビンスキーの春の祭典に似ていたがそれなりに格調のあるものだった。