読んで行くと離人症の症状と思われる記述が出てくる。
「僕はあの男と話をするたびに、おそろしく空虚な気持ちになるんです。まわりにある何もかもがみんな、実体のないものに見えてくるんです。目につくすべてががらんどうに見える。でもそれがどうしてなのかを、口に出して正確にきちんと説明することができない。そしてそのおかげで、僕はときどき僕ではないようなことを言ったり、僕ではないようなことをやったりしてしまう。」(p66)
このような仕掛けを共感できるかあざといと思うかがファンとアンチの境界になると思う。