これはスウェーデンで活躍する映画監督ナヒード・ペーションの作品で、構成および資料映像の配置などクオリティの高さが光っている。
かつてはニアバラン宮殿に住み自家用機を乗り回していたファラー王妃も今はパリのセレブの一人である。ナヒードは王妃の許可を得てインタビューを開始する。
まずパーレビ国王の亡命の経緯、国王との馴れ初め、パリでの王室外交のような生活、交友関係が明らかにされる。ナヒードが経た苦難についても随時挿入される。学生時代共産党員だったこと、同じく共産党員だった17歳の弟がホメイニに処刑されたこと、ドバイに密入国して二年間不法滞在したこと、まあ彼女も王妃と似たような亡命人生を歩んでいる。
王政復古を望むグループの集会もあった。いろんな人が現れる。王政時代に拷問を受けたという男がやって来てナヒードに話しかけてくる。
ナヒードは今度はエジプトに向かう。サダトがパーレビに用意してくれた宮殿を訪れる。ここでパーレビ国王は病死するのだが、エジプトの計らいで葬儀は盛大にとり行われた。ナヒードと王妃が今回エジプトに来た理由は7月27日がパーレビの命日だからである。毎年関係者たちがここに集っている。
機が熟したのかナヒードは王政時代の弾圧についてインタビューし、王の人となりについてもインタビューする。その受け答えを見ると王妃が聡明で雄弁な女性であることがよくわかる。最後に国を失った者同士イランの未来について語り合う。ナヒードはここに至って王妃と人間として対等な関係を築いたようだ。