ドラマ 過去を追う女 (1994)

 東京と函館を舞台としたサスペンスドラマである。監督は井筒和幸、主演は新婚夫婦を演ずる南野陽子渡辺いっけいで、他は充実した俳優陣で固められている。発端は一本の電話で、妻の律子が元カレがいる都内のホテルに呼び出され、情事が行われる。その直後夫の響介が交通事故で死亡、姑(吉行和子)は響介が死んだのは律子のせいだと責める。

 葬儀に現れたいわくありげな女を函館に訪ねた律子は、関係者と次々と会い、夫の死の真相或いは夫の生育歴を知ることになる。お見合い結婚で結ばれた響介は、孤児院の出身で、プライベートでは女漁りが頻繁で、仕事では会社の金を一億円ほど横領していたという事実が明らかになる。随分背負っていたものが大きいことがわかったが、それに耐えきれずに命を絶ったのだとみんなは思っている。一方律子は響介の子を身籠もっており、変わった計画を着々と進め、姑を驚かすのである。後半では、狂気の主が入れ替わるのが面白い。