映画 The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛(2011)

     アウンサン将軍の暗殺(1947年)、アリス博士のガン宣告(1998年)の場面が冒頭に提示されスーチー一家の英国生活からが本題として描かれる。スーチーはアリス博士との間に二人の男の子をもうけオックスフォードで平和に暮らしていた。ある日スーチーの母親が入院したという一本の電話がかかってくる。スーチーは家族を置いて急遽ビルマに帰国する(1988年)。スーチーはしばらく母親を看病していたが民主化運動のリーダーとして活動を開始する。クーデターで誕生した軍事政権による弾圧が始まるがスーチーはペンを取り国際社会に訴える。タン・シュエの提案によりスーチーの軟禁が実行に移される(1989年)。スーチーの仲間たちは監獄に送られ拷問を受けるがスーチーのハンガーストライキによりいくらか改善される。総選挙(1990年)の結果スーチー側が圧勝したが軍は態度を硬化させ選挙結果を反故にして弾圧を始める。そこにノーベル平和賞受賞(1991年)の知らせが届く。授賞式がストックホルムで行われ長男が受賞スピーチを行った。その後ツツ大主教の提案で全アジア連合が介入しスーチーの軟禁が解除される(1995年)。アリス博士はガンのため53歳で弟子と息子たちに看取られて死去する(1999年)。スーチーとは会うことができなかった。2007年いよいよ僧侶と学生たちによる大規模なデモが起こる。ここでこの映画はソフトな感じで終わる。この時の大弾圧の様子はドキュメンタリービデオで見ることができる(ビルマVJ 消された革命)。 
 
   スーチーが汚れのない偉大な人物でアリス博士が聡明な人徳者という視点で描かれたフィクション映画だろう。人にまつわる事物は誰かが取り上げた時点で嘘になっているものだ。これも相当多くの嘘で出来ていると思う。