映画 祇園囃子 (1953)

   溝口健二監督作品。栄子(若尾文子)は家庭の事情で舞妓になる決心をして父親が贔屓にしていた芸妓の美代春(木暮実千代)の元を訪れる。スタイルもルックスも申し分のない栄子は保証人の問題があったが一年間の修行の後美代栄としてお座敷にデビューすることになる。この修行の映像がなかなか見応えがある。

   お座敷では会社の専務と役人の接待の席に呼ばれ美代栄と美代春はそれぞれに見初められるが簡単には落ちない。事件が起こる。専務が役人を東京見物に接待に連れて行くのだが美代春と美代栄が同行することになる。若い美代栄は憧れの東京に行けて大喜びだが接待で寝ることになっていたのだ。美代春の方はある程度言い含められていたが美代栄は何も知らない。結局二人とも抵抗して接待はぶち壊しになってしまった。

    これで怒ったのは専務に世話を頼まれていた女将でメンツを潰された上に美代栄の修行の費用を用立てた恩を盾に美代春を責める。美代春はお座敷に出入り禁止となり二人はお茶を引く毎日になる。どうしても受注を取りたい専務は再び女将に仲介を頼んでくる。祇園のしきたりを身に沁みて分かった美代春はお役人と寝ることに同意する。その時点から二人にお座敷にお呼びが掛かるようになる。

    お泊りから帰ってきた美代春は高価な土産を美代栄に差し出すがお金の為に寝た事を美代栄は詰る。しかし最後は仲直りして映画は終わる。

     映像は極めて美しくストーリーもまとまってはいるがやはり映画として公開する為に本当の醜いところはぼかされているなと推測した。