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東洋文庫 リンドレー著 太平天国 1 李秀成の幕下にありて (1866)

  1864年日本が下関戦争で苦しんでいる頃中国では太平天国の乱が終焉を迎えていた。李秀成とは太平天国の新指導部の一人で著者リンドレーは英国海軍将校で太平天国に入り込み協力しながら内部事情を詳しく観察し危険が迫ると中国を脱出した。その後本書が出版されるが論調は終始清国と英国に批判的であり太平天国の事を賛美しているという奇書である。

  1859年エミュー号に乗ったリンドレーが香港に乗り込むところから始まる。リンドレーは多大な好奇心を持って中国人を観察してゆく。その記述はわりと客観的でジョークを交える余裕もある。美しいヴィクトリア市の光景、周辺の海に猖獗する海賊、博覧会、キャバレー、広州の女について書かれている。中国人の本性は残忍で二枚舌だというがそれは韃靼人(清朝)の過酷な支配の産物であると擁護もしている。

  その後各地を巡りながらポルトガルの美少女マリーと出会ったりまるで冒険物語のようであるが実話である。マリーと出会ったリンドレーはマリーの身の上話を信じ家出の手助けをする。上海にいる親戚の所に身を隠したマリーとリンドレーは逢瀬を重ねるがある日突然家は空になり荒らされた跡がある。目撃情報を元にマリーが乗っていたという船を追ってリンドレーは揚子江を遡って行く。目的のローチャ船を見つけマリーを救出して南京にたどり着くまでが第1巻である。

  太平天国に関する記述は洪秀全が如何に由緒正しく有能で人格者であるかを本当らしく書いてあるだけである。