2021-07-01から1日間の記事一覧

小説 天北原野 (12)

敗戦の混乱と失意を経て孝介と貴乃がエゾカンゾウの咲き誇る原野に立っている。 《オレンジ色の花群が、道の左右に、遥か彼方の地平線まで、敷きつめたように続いていた。その果てしないエゾカンゾウの大群落を眺めながら、二人は言葉もなかった。 しばらく…