映画 引き裂かれたカーテン (1966)

 ヒッチコック監督のサスペンスドラマである。ストーリーはまあそれほど良いものでもないが、ロケ地のヴィジュアルが面白い。北欧フィヨルドクルーズから始まって、コペンハーゲンチボリ公園東ドイツの当時の街並み、ベルリン美術館、ライプチヒにあるカール・マルクス大学を見ることができる。鉄のカーテン内の庶民の暮らしもそれなりに表現されている。上層部はキューバ産の葉巻、一般人はソ連製のタバコ、そしてコーヒーはまずいという風に。

 主人公の物理学者アームストロングが、東ドイツ政府にカール教授の共同研究者として雇ってもらい、カール教授の頭の中にある数式を盗み出そうというスキームなのだが、最初から目論みから外れてゆく。フィアンセのサラが勝手についてくるし、バレそうになってスパイを一人殺してしまい、とうとう秘密警察に追われる立場になる。幸い数式は聞き出せたので、あとは西側に脱出するだけになる。

 劇場で二人がバレエ鑑賞中に、警察がポツリと現れどんどん増えて包囲されてゆく場面は、ヒッチコック得意のホラーになっている。