映画 普通の人々 (1980)

幸せだった弁護士一家に不幸な事故が起こり家族の関係がぎくしゃくする。兄弟の乗ったヨットが遭難し兄は水死、弟のコンラッドはトラウマからリストカットし精神病院に入院する。退院後コンラッドはハイスクールに復学し水泳部の練習に励む。父の助言で最近セラピーに通い始めたところである。コンラッドは家では母とぎくしゃくし、学校では友人とぎくしゃくする。入院時代の女友達が自殺したのを知るとコンラッドPTSDが発動する。なかなか大変そうだがセラピストの力を借りて少しずつ盛り返しているところである。同級生の女の子とも付き合い始めうまく行きそうである。

大変動はクリスマス休暇に訪れる。コンラッドを祖母のところに置き去りにして夫婦でゴルフの休暇旅行に出かけた際に夫婦が口論になる。夫はコンラッドはいい子だ気遣ってやれと言うが妻は息子の話は拒絶した上であの子がいくら優秀でも愛するなんてできないと言う。夫はコンラッドが知りたいのは母親に嫌われているかどうかだと言うと妻は母親が息子を嫌うわけないと今度は保身に走る。夫の言葉に対して大声を張り上げると妻の兄が割って入って来て皆お前の幸せを願っているんだという。これにまた爆発して兄さんの子供は生きているくせにと言う。

休暇から帰ってくるとコンラッドは母を気遣って抱きしめるが母の表情はこわばっていた。それを見た夫は決心する。妻に僕を愛しているかと問い、あの事故がなければ全てうまく行っただろうと言う。妻の返事に対し君とはもうやって行けないと言う。妻は静かに二階に上がり荷物をまとめて家を出て行った(とりあえず別居)。

思春期に特有な心の不安定さ、相手をコントロールしようとし心が不安になるとまくし立てる女性特有の振る舞い、誠実さと無償の愛がある父親、どれもよくある一般的な光景である。セラピストは母親の限界についてコンラッドにアドバイスしていたし、父親の友人も息子が大学に入って家を出る迄の辛抱だと言っていた。父親の今回の判断は観客の溜飲は下がっても現実では誤りかもしれない。